アイスダンスの領域で多くのメダリストを輩出し、世界各国から才能が集まるカナダ・モントリオールのアイスアカデミー・オブ・モントリオール。ここを拠点に世界を目指す日本のアイスダンスの若手カップルがいる――。田中梓沙選手&西山真瑚選手(オリエンタルバイオ)。2人は2023年5月にカップルを結成すると、1年目にして全日本選手権で銀メダルを獲得し、四大陸選手権にも初出場を果たした。滑らかなスケーティングと繊細な音楽表現が光り、“あずしん”の愛称で知られる2人は、まさしく世代交代が加速する今シーズンの注目株。NHK杯(11月8~10日)でグランプリシリーズ初参戦を迎える期待の星に聞きました。
大活躍の結成1年目で得たもの
―― 2023-2024シーズンは、結成1年目で全日本選手権2位、四大陸選手権に初出場を果たしました。モントリオールのコーチたちとは昨シーズンをどんなふうに振り返りましたか。
西山 成長と課題、両方とも見つかったシーズンになったと2人とも感じています。「メダリスト・オン・アイス」(2023年12月)の練習中に梓沙ちゃんが手を怪我して、四大陸選手権前に十分練習できなかったこともあって、国際舞台で自分たちの力が十分に発揮できませんでした。先生たちからも健康でいればもっと上の順位を目指せたと思うから、来年はそこを目指して頑張っていこうと言われました。いっぽうで、1年目で全日本や四大陸の舞台でこれだけの演技ができたということはすごいことだから誇りに思っていいと言われました。
―― あらためて、お2人がアイスダンスで一緒に滑ることになった経緯を教えていただけますか。
西山 2022年から2023年にかけて、ぼくはシングル選手として滑るのは最後と決めて、シングルをやりながらアイスダンスのパートナーをずっと探していました。なかなか見つからないなかで、2023年4月に、アイスダンスのパートナーを探すことができる「アイスダンスパートナーサーチ」というWEBサイトに梓沙ちゃんが登録しているのを見つけて……。梓沙ちゃんのことは、ジュニア時代にグランプリに一緒に行ったこともあり、すごく魅力的なスケーターだと前から知っていたので、すぐ連絡しました。4月にトライアウトをしたとき、アイスダンスの初心者とは思えないくらい、すでに基本的なところができていて、これならモントリオールに行っても大丈夫だと思いました。いろいろ話し合って、2023年5月からモントリオールに一緒に渡って練習が始まりました。
―― 田中選手は、シングルからアイスダンスの世界に飛び込む決心はどのように?
田中 シングルをこのままやりたいけれど、もし上を目指すならダンスのほうでやりたいとも思っていました。でもアイスダンスをやってみたいと思っても、どうしたらいいかわかりませんでしたし、本当に最後の最後まで、自分の気持ちがよくわからなかったんです。濱田(美栄)先生からは「いつまで悩んでいるの?」と言われて、「いったん考えるためにスケートの練習に来ません」と宣言して、そして最終的に「アイスダンスに転向します!」と先生に言いに行きました。最初に「アイスダンスもあるよ」と教えてくださった濱田先生にはいまとても感謝しています。