2024年11月21日
絶対女王、来季に向けても手ごたえ十分!

坂本花織「今シーズンのフリーは衝撃的だった」

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世界選手権3連覇中の坂本花織選手が、5月6日、都内で報道陣の取材に応えました。2023-2024シーズンはグランプリファイナル初優勝も達成し、絶好調だった坂本選手。その1年を振り返り、来季の展望についても語りました。取材を終えたその足で振付のためにモントリオールに発つと明かすなど、つねに前を見て進み続けている世界女王のトークをレポートします。

さらに、発売中の「ワールド・フィギュアスケート」101号では、小誌だけのスペシャルインタビューを掲載しています。この記事のトップフォトでご紹介したのはインタビュー時の坂本選手。3連覇の”ゴールド”を背負った満開の笑顔とともに、たっぷりと2023-2024シーズンの裏側と興味深い心境の変化を語ってくれました。飛び出すエピソードがまったく異なる2つのインタビューをぜひ合わせてお読みください!

陸のトレーニングで調子を上げて

―― 昨シーズンはどんなシーズンでしたか。

坂本 昨シーズンはスタートがすごいいいシーズンだったので、調子の波も大きくなく、いい成績をずっとキープして世界選手権まで走っていけたので、そこはすごくよかったなって思いました。

―― 成長できたな、これが得られたなって思うことはありますか。

坂本 試合を積んで、こういう気持ちだとこういう調子なんだなっていうのを、試合を通して見つけることができたので、それはすごく今後に生きる経験になったかなと思います。それをオリンピックシーズンの前に見つけられたのはよかったんじゃないかなと思います。

―― 勝ち続ける難しさみたいなものは感じましたか。

坂本 勝ち続ける難しさは世界選手権でやっぱり感じて。ショートは大きなミスはなかったですけど、やっぱりパーフェクトではなかっただけで、すぐ4位とかになってしまって。常に完璧にするって難しいんだなっていうのは感じました。

―― 自分自身のコントロールはどのように?

坂本 ずっとがんばり続けるっていうのは大変なので、ちょこちょこ自分の体と気持ちと相談して、いまはちょっと休んだほうがいいなっていうときは思い切って休みました。1日だけしっかりリフレッシュして、またその次の日からがんばろうって思ってしっかり休むと、そのあともすごくよかったので、それは引き続きやっていこうかなって思ってます。

―― モチベーションを保てている理由は?

坂本 ちょっとだけ悔いが残る状態でこの2シーズン終わっていて、よかったって燃え尽きることなく、次に進もうって気持ちが乗ってる状態なので、そこまで波が少なくいられてるのかなっていう感じです。

5月6日、合同取材より ©World Figure Skating/Shinshokan

—— オフの期間、フィジカル面で強化したいところは?

坂本 フィジカルの面では、最近は陸でのトレーニングもすごく重要だなと感じ始めているので、そこはしっかりペースを落とさずにやっていきたいなと思ってます。

—— 陸のトレーニングは筋トレですか。

坂本 何か錘を持ってっていうわけじゃなくて、ほぼ自重でやるトレーニングなんですけど、それでもけっこうちゃんと筋肉がつくとこはつくので、それをしっかりやることによって、やっぱり今シーズン成績がよかった。それを続けていって、(オフは)シーズン中になかなかできないようなトレーニングをやって、自分のスケートにどういう変化が出てくるのかっていうのをいま試してるところです。

—— 自重の筋トレって具体的にどんなことを?

坂本 部分的にはお尻とかハムストリングスとかをけっこうやってて、それを鍛えるだけでけっこう今シーズン調子が安定してきました。で、年末年始のときに3週間ぐらいトレーニングを怠った時期があったのですが、そのときはどう氷上でがんばっても調子が上がらなくて、がんばりが空回りしてる感じで。トレーニングを再開していくと、また調子が上がってきたので、トレーニングは必要だなっていうのを感じるようになりました。トレーニング自体は1時間半ぐらいじっくりやって、どういう体の動かし方をしたらどこの筋肉が鍛えられるかっていうのは自分で体で感じながら最近はやるようにしていますね。

絶対に自分じゃ選ばない曲を持ってきてもらった

5月6日、合同取材より ©World Figure Skating/Shinshokan

—— 来季のプログラムについてうかがいたいです。

坂本 ショートはロヒーン・ウォードさんに振付をしてもらって、曲はだいたいは決まってはいるんですけど、アルバムのなかのどれかという感じなので、まだ大きくしか決まっていなくて。フリーは昨年に引き続きマリ=フランス先生に振付をお願いして、曲はこれからマリ先生と話し合って決めていけたらなと思ってます。

—— 3シーズン目になるマリ先生に今年も振付をお願いした理由は?

坂本 初めてやったシーズンが「エラスティック・ハート」で、今シーズンのフリーの「Feeling Good」も、本当に自分じゃ絶対に選ばないような曲を持ってきてもらいました。自分的には「これいけるのかな」っていう気持ちからスタートはしたんですけど、結局それがいい方向に働いて、こんなことも自分はできるんだっていう新たな発見があって、すごくいい刺激をもらえた。今シーズンもそれを楽しみにしてお願いをしました。

—— ブノワ・リショー先生からマリ=フランス・デュブリュイユ先生に振付師を変えた理由は?

坂本 やっぱりいろんな振付師さんに振付をお願いしたいっていう気持ちもあったし、振付師さんごとに私のイメージっていうのが本当に全然違うので、そういうので曲を選んでもらって新たな引き出しを作り出してもらうっていうのがすごい楽しい。ブノワ先生から離れたっていうよりかは、いろんな可能性を見つけたいなと思って変えてみました。今シーズンのフリーがやっぱいちばん自分のなかではけっこう衝撃で、ジュニアの頃の自分だったら絶対に恥ずかしくてできなかったような大人っぽい曲なんですけど、それがいろんな経験を積んできて、いまだからこそできるプログラムになったのかなってすごく思う。自分自身すごく成長したなっていうのも感じられたし、新たな自分も見えたので、すごくよかったなって思いました。

—— 技術的な部分で見えた課題は?

坂本 だいぶジャンプは安定してきたんですけど、やっぱりどうしてもルッツがまだたまにルッツにならなかったりするので、そこをしっかり矯正できたらなって思っています。来シーズンは(フリーで)ルッツ2本、フリップ2本をやってみたいなと思っているので、それがいちばん現実的な目標かなと思います。

—— 4回転の練習状況は?

坂本 一応練習は4回転もやってはいますけど、まあうーん……試行錯誤中という感じです。

—— 世界選手権後、来季は内容重視というお話があったのですが、具体的にどのように内容にこだわっていきたいですか。

坂本 今シーズン、順位だけ見れば優勝がけっこう続いてたんですけど、内容を見るとやっぱりちょこちょこミスが多かったりとか、レベルの取りこぼしだったり、細かく見るとやっぱりどこかしらマイナスがついている。それを来シーズンはもっと少なくしていきたいなって思っているので、内容重視でがんばっていきたいなと思ってます。

—— オリンピックのプレシーズンである来季、意識していることは?

坂本 まだオリンピックのプレシーズンなので、挑戦はできると思うので、プログラムもこれいけるのかなっていうものでも試してやってみたいなっていうのもあるし、とにかく2年後につながるようなシーズンにできたら十分かなと思います。

—— 座右の銘や先生に言われて大切にしている言葉はありますか。

坂本 「練習は試合のつもりで。試合は練習のつもりで」っていうのは、自分がノービスとかジュニアの頃からずっと言われてた言葉です。最初のほうはやっぱり「どういうこと?」みたいな感じにも思ってたんですけど、年齢を重ねれば重ねるほどそれがもう本当にそうだなっていう気持ちになります。

さらに負けられへん!

5月6日、合同取材より ©World Figure Skating/Shinshokan

—— 世界選手権のチャンピオンはトレンドセッターになりますがそこについてはどう感じていますか。

坂本 男子はやっぱりマリニン選手もそうだし、アダム選手もそうだし、ジャンプを跳ばないと勝てない時代になってきて、だからこそできても降りられなきゃ意味ないし、ちゃんとクオリティのいいものじゃないと本当に勝てない。でもそれを見るのは自分はけっこうワクワクするというか、なんか見てて燃えてくる。その時代その時代でいろいろ変わるとは思うんですけど、いまのやり方っていうのも悪くないんじゃないかなっていうのは自分は思っています。女子はいま4回を跳ぶ人とかも少なくなってきて、とにかくみんなができる範囲がほとんど同じなので、それぞれの個性で自分をアピールする点で、やっぱり選手ごとで全然違ってくるので……なんて言うんだろうな……トレンド……めちゃくちゃ難しいですね。男子ほどやっぱり女子っていうのはこれっていうものが少ないんですけど、でも男子にないものが女子にあるのかなって思うので、女子はそれとして、やっていけたらいいかなと思います。(この答えで)合ってる?(笑)

—— ロシア勢に対してはどんなお気持ちですか。

坂本 ロシアの4回転を跳ぶ選手とかがまず来たときは、もう本当に自分自身を見失ってしまって、どうがんばればいいかもわからなかったんですけど、でも北京のシーズンで自分の戦い方ををちゃんと決め始めてからは、自分自身も迷いなく練習ができるようになった。絶対(ロシアから)3人は出てくるので、その3人のうち1人でも上にいきたいなというのがあって、その気持ちでずっとやってきました。久々に帰ってきたら、もちろん多少動揺はするかもしれないですけど、それは自分にとっていい刺激にはなると思うし、さらに負けられへん! っていう気持ちにはなるのかなって思います。

—— 特に日本の若い選手たちが「打倒・坂本花織」とより強い思いを持って新しいシーズンに入ってくると思いますが、女王として考えていることをお願いします。

坂本 最近は特に実感していて、全日本でやっぱり直接対決ができるので、そこで今シーズンもジュニアの子たちがすごいなっていうのもあったし、世界選手権に一緒に出た吉田選手と千葉選手もそうですけど、怖いもの知らずというか、とにかく前だけを見て突っ走ってくる選手というのは本当に自分の力を爆発させたときにすごい演技をします。でもそれに自分も負けてられないっていう気持ちも芽生えてくるので、お互いいい刺激になってるんじゃないかなとは思います。


ワールド・フィギュアスケート 101号
表紙:イリア・マリニン
巻頭インタビュー:坂本花織

ご購入はこちらから>>
Amazon https://amzn.to/4b3DuOH
新書館サイト(新書館オンラインショップ)https://www.shinshokan.co.jp/book/b645194.html

書店店頭にてお取り寄せすることも可能です。

プロフィール
坂本花織(さかもと・かおり) 2000年4月9日、兵庫県神戸市出身。シスメックス所属。2022年、北京オリンピック個人戦で銅メダルを獲得し、その約1か月後の2022年世界選手権より大会3連覇中。2023-2024シーズンはグランプリファイナルでも初優勝し、圧倒的な強さを見せるいっぽう、オフアイスでは天真爛漫な一面をのぞかせる。
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