旧友の島田高志郎に振付を頼んだ思い、兄貴分の友野一希への感謝を語る

INTERVIEW 三宅星南「何をしたいか考えたときに、高志郎くんの振付が出てきた」

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東京選手権(10月2~4日/田中貴金属アイスアリーナ)で3位に入り表彰台に上がった三宅星南選手(日本建物管財)。岡山県出身で、憧れの高橋大輔さんを育てた長光歌子コーチの指導を受け、世界ジュニア選手権やグランプリシリーズに出場、2022年の四大陸選手権では4位に入る実績を残しています。昨シーズン、目標としていた全日本選手権で17位。これまでにないほど悔しい結果に涙を流しながらも、努力を尽くした4年間を振り返って「よくがんばったと自分に声をかけたい」と話し、進退については「一度落ち着いてゆっくり考えたい」とコメントを残していました。

そんな三宅選手が、同い年でかつてのリンクメイトでもある島田高志郎選手が手掛けたプログラムとともに新たなシーズンに臨んでいます。いまはフィールドを異にする旧友の振付、そして兄貴分と慕う友野一希選手がかけてくれたアドバイスなど、周囲のサポートを受けて挑む今シーズン。感謝の思いとともに、「わがままなのかもしれないんですけど」と前置きしつつ、自身の理想を追い求める三宅選手が、今季へ懸ける思いを語りました。

「こうじゃないと」よりも「こうしたい」、変化よりも自分の良さを再確認

―― この夏はどんな取り組みをしてきましたか。
三宅 サマーカップが終わってからは自分が「こうやりたい」というのがすごく見えてきて、強化練習や友野一希くんのイベントに2週連続で浪速と辰巳に出させてもらったりしました。そのあと一希くんと一緒に練習する機会をいただけて、自分のなかで新しいことへの挑戦ができたので、いつもより充実していました。スケート以外の部分でも発見や吸収することがあったので、充実した夏を過ごせたなと思います。

―― 友野選手とはどのような練習を?
三宅 一希くんの貸切の時間に一緒に入れてもらって、ウォーミングアップから同じメニューをやらせてもらいました。「こういうふうに意識してやっているんだよ」というのをすごく細かく教えてもらえて、それを自分なりに解釈しながら、今回もウォーミングアップに取り組んだり、普段の練習から取り組めているので、ありがたいです。

―― 昨季の全日本選手権ではこの先はわからないというお話もありましたが、今季またがんばろうというところまでどのように気持ちを持っていったのでしょうか。
三宅 国体(1月の国民スポーツ大会)の前、年明けに高志郎くんに振付を頼んだころにはもう1シーズンがんばるというのは決めていました。競技を続行するのは自分のなかで決まったんですけど、そこから気持ちの面でも、体調の面でも、昨年から難しい部分があったり、そういうのが重なってけっこうしんどかった。(今年8月の)サマーカップのときがピークで、サマーカップが終わったあとは自分のなかではっきりした感じがして、いまは充実して過ごせていますし、何かトラブルがあっても、それをどうやって乗り越えるかという前向きな姿勢で、普段の生活から取り組めているので、去年より心も強くなってきているんじゃないかなと思います。

―― サマーカップでスイッチが入った?
三宅 サマーカップで演技をして、もっとこうしたかったというのがすごく出てきて、ああしておけばよかったなというのもあって、自分がいままで「こうじゃないと」と思っていた部分を崩してみたり、いまは試行錯誤の段階なんですが、それがバラバラになるよりも、プラスに働いてきていると思います。

―― 試合に出たことによって、自分自身の演技への欲がはっきりしたんですね。
三宅 そうですね。大会でお客さんに見てもらったのもすごく力になりました。

―― 友野選手との練習はどのタイミングで?
三宅 浪速のイベント(7月)が終わったぐらいに、一希くんや(大島)光翔くんとみんなで過ごす機会があって、そのときに「ここで(NTCの関空アリーナの)練習をとっているけど、一緒に来る?」と誘ってくれて、「ぜひ参加させてもらいたいです」と伝えました。快く聞いてくれる一希くんはやっぱりすごいなと思います。そういうのはなかなかできないことだと思うので、本当に尊敬しています。8月の辰巳のイベントの次の週に、関空アリーナで3日ぐらい一緒に練習させてもらって。辰巳でも浪速でも一希くんは演技を見てくれていたので、アップや本番の演技を通してぼくの改善点や、その日の練習のウォーミングアップも見てくれました。

―― どんなアドバイスが?
三宅 一希くん自身もすごく意識されていると言われていたんですが、上半身の動かし方。氷に入って自然に動くためのエクササイズ、状態の作り方みたいなものを教えてくれて。自分でも課題には思っていたんですけど、なかなか取り組めていなかったので、一希くんに教えてもらって具体的な改善が見えてきて本当にありがたいです。

―― まるで合宿ですね。
三宅 本当に合宿みたいで。(笑)イベントのときも前後で一緒に練習させてもらったりしていたので、けっこう長いこと合宿みたいな感じで練習させてもらったので、普段と違った刺激がすごく感じられて楽しかったです。

―― いま普段の練習は倉敷ですか。
三宅 倉敷で林(祐輔)先生にみてもらっています。ときどき関空に伺ったり、長光先生が倉敷に来られたときに見ていただいたり、動画を送ったりしてコミュニケーションをとりながら、お二人にしっかり見てもらっています。

―― 林先生の指導が加わっていかがですか。
三宅 今日のジャンプもそうですが、前だったら転倒やパンクしてしまっていた部分が、力を最後まで残して、なんとかステップアウトまではもっていけたのは、その(指導の)部分が大きかったのかなと思います。あとは、夏の成果としては4連続ジャンプ。ぼくはコンビネーションが苦手でなかなか跳べていなかったんですけど、(今季のフリーで)4連続をしっかり跳ぼうと思っていて、それがこの夏のいちばんの成果だと自分では思っています。

―― 関西から戻って、再び地元の岡山で練習されているんですね。
三宅 スケートを始めた倉敷のリンク(ヘルスピア倉敷)で、バイトもさせてもらってリンクの裏側を知ることもできたり、リンクさんがすごく応援してくださっているので、今年は懸ける気持ちがすごくある。本当にがんばりたいです。始めた当時からお世話になっているスタッフさんがいらっしゃるんですけど、「この時間空いているから滑っていいよ」とか、もっとできると温かく声をかけてくださって、それも現役続行するうえで、強い気持ちにつながった。「恩返し」じゃないですけど、ぼくが満足のいく演技ができたら喜んでくださると思うので、それを見せられるようにがんばりたいです。

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―― フリーは島田選手に振付をお願いしたとのことでしたが、どうしてこのタイミングでお願いしようと?
三宅 前のシーズンにちらほらと木下(アカデミー)の子に振付したりしているのを見て、いつかしてもらいたいという気持ちはあったんですけど、年始に現役を続行しようと決めたときに、自分のしたいことをやろうと思って。そこで、何をしたいかと考えたときに、高志郎くんに振付してもらいたいというのがパッと頭のなかに出てきたので、ダメ元で頼んでみたら、快くいいよと言ってくれて実現しました。このプログラムは本当に思い入れがある。ジャンプが失敗してしまうと演技の流れが途切れてしまうんですけど、このプログラムは流れも1つ大事なものになると思うので、しっかりジャンプを決めて流れを作ってプログラムを完成させられるようにしたいです。

―― 「Unchained Melody」は以前にもSPで使っていた曲だと思うのですが、選曲はどなたがされたんですか。
三宅 2人で話し合って決めたんですけど、自分が滑りたいと思ってストックしていたなかから選んだようなかたちです。「Unchained Melody」は自分にとってはすごくいいシーズン(2021-2022)を過ごせたときのショートプログラムで、思い入れもありますし、今聞いても大好きな曲なので、それをもう1回滑るのは、なんだろう……自分の良さを再認識したいというのもありましたし、気持ちよく滑りたいなって――ずっと自分の良さよりは「変えないといけない」と思ってやっていたんですけど、「Unchained Melody」を使ううえでは自分の良さを再認識して出したい。振付も自分の滑りのいい部分を見せられるプログラムに作ってくれているので、それをしっかりと自信を持って出せるようにもっともっと練習していきたいです。

―― 島田選手に振付してもらうなかで、「アイスダンサーになったんだな」と感じることはありましたか。
三宅 やっぱり(エッジへの体の)乗せ方ですね。4本目のジャンプの前の部分とか(体重を)乗せてからもうひとつずらすとか、コレオ前のスリーターンの両足を揃えて回る部分は、アイスダンスで高志郎くんががんばって練習している部分を手直しのなかで入れてもらったという感じはあります。相手がいることで、1人で滑っているんじゃなくて、もっと広い空間で滑っていると思うので、(映画「ゴースト」の)この曲はずっと誰かと対面している場面だと思ってぼくも滑っているんですけど、そこの表現はやっぱり解像度がすごく高くて、それを自分も表現できるようにがんばりたいです。

―― 年齢を重ねるにつれて、周りの方々への感謝の思いなど、周囲の存在へより目が向くようになった?
三宅 そうですね。前はすごくそういう部分を考えてしまって、「がんばらないと」というのが強くて、なんか空回りしていた部分があったんですけど、今年はいろんな人から受け取ったものをどうしたらいいのかなと思ったときに、わがままなのかもしれないですけど、自分のやりたいようにいまはできています。感謝の気持ちは忘れていないんですけど、考え方みたいなのはすごく広がったのかなと。肩の力が抜けたというか、去年に比べたら普段の生活から楽に過ごせていたり、アクティブにいろんなことに挑戦できているので、去年から考えられない感じの生活になったのかな。アルバイトをしたり、遊びに行ったりするのも含めて、フットワークが軽くなった。(笑)そういう経験が絶対にいい方向につながると思っています。

―― バイト代の使い道は?
三宅 ちょっと何に使おうか考える時間も楽しかったです。木科(雄登)くんが全日本で引退というのもあったので、年始に岡山に帰って一緒にごはんを食べに行って、それに使いました。「おつかれさま」というのもあって。ごはんに行こうというのも誘いやすくなって。(笑)いろんな経験をできているので、それを前向きに発揮できるようにがんばりたいと思います。

(10月3、4日、東京選手権の取材より構成)

三宅選手は、このあと全日本選手権の最終予選である東日本選手権(10月30日~11月1日/群馬県前橋市)に出場します。

プロフィール
三宅星南(みやけ・せな) 2002年3月26日、岡山県出身。日本建物管財所属。ジュニア時代から長光歌子に師事し、2018年世界ジュニア選手権18位、2020年全日本ジュニア選手権3位。2021-2022シーズンにシニアへ上がり、同シーズンの全日本選手権で6位、四大陸選手権で4位に入った。2024年全日本選手権6位。2025年全日本選手権17位。名前の「せな」は、父親の好きなF1レーサーのアイルトン・セナに由来。
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