2026年2月11日
団体戦アメリカチームの”あと1点”に貢献した歳の差ペア

Pick Up エリー・カム&ダニー・オシェイ「それぞれの努力がパートナーの力に」

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2月8日、ミラノ・コルティナ・オリンピック3日目は、白熱の団体戦が決着しました。大接戦、大熱戦の末に金メダルを手にしたのは、アメリカチームでした。世界チャンピオン3組を擁するアメリカチームのなか、会心のフリーでショートプログラム(SP)より順位を1つ上げてチームの勝利に貢献したペアのエリー・カム&ダニー・オシェイ組。カム選手は日本生まれです。初めてのオリンピックを戦う2人の、団体ペアフリー後のコメントをお伝えします。

日本生まれのエリーと経験豊富なダニーの歳の差ペア

アメリカの一番手チームとしてミラノ・コルティナ・オリンピックに出場しているエリー・カム&ダニー・オシェイ。21歳のカムは東京の横田基地で生まれ、箱根駅伝で山梨学院大学を優勝に導いた上田誠仁元監督の姪。いっぽうのオシェイは、2月13日に35歳の誕生日を迎えるベテランで、タラ・ケインとのペアで2018年四大陸選手権優勝を経験。2人のペア結成は2022年、競技を離れてコーチとして指導していたオシェイのもとに、当時のペアを解散したカムとのトライアウトの機会が巡ってきた。「2日ほど一緒に滑ってみたら、滑りも全部が合ったんだ。これはいますぐやるしかないねって」(オシェイ)と、すぐにチームとして始動し、同年11月に国際大会にデビュー。結成2シーズンで全米チャンピオン、四大陸選手権銅メダルに輝いた。

初めてのオリンピックで団体戦のペアを一任され、フリーは勝負のカギを握る場面での登場となった。「氷に上がる前にエリーと交わす小さな儀式があるんです。ぼくらの最初の試合は、結成してまもなく、エリーにとって初めての国際大会。練習時間もまだ少ない嵐のような日々のなかで、試合に出ていくために始めたこと」という、いつも通りのルーティンでリンクに上がり、気迫のパフォーマンスを披露。割れんばかりの喝采のなか、普段は冷静なオシェイが何度も観客にアピールし、会場はそのたびにボルテージを上げる。エネルギッシュなカムの歓喜の叫びが大歓声と共鳴した。フリーの自己ベストを更新し、SPより順位を1つ上げて団体ペアフリー4位。解説の町田樹さんも「今日、流れを変えたのはペア」とコメントした。最高の演技と、”あと1点”を叶えた、団体戦ならではの勝利のかたちが、そこにあった。

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―― 今日の演技はいかがでしたか。
カム あんなに大きなエネルギーを感じながら演技ができたこと、プレッシャーも緊張も感じすぎず、だけど自分たちとチームのためにいい演技がしたいと確かに望んでいたこと、それらが全部あいまって、これまで出てきた国際大会のなかでも最高の演技の1つが生まれる瞬間につながったんだと思います。演技全体をまとめることができて、本当に満足いくものになりました。

―― チームポイントについては。
オシェイ そこに貢献できていたらいいですね。このあと滑るチームメイトのプレッシャーを1ポイントでも2ポイントでも軽くして、自分たちの役割をまっとうしてチームを助けることがぼくらの目標でした。今日はSPを少し上回る働きができたので、誇りに思います。このあともチームみんなで得点を積み上げていくつもりです。

―― 後半のスロウ・ループもしっかりと降りました。
カム スロウ・ループに入る瞬間はエネルギーがあふれていて、すべてをコントロールしようとしたせいか、少し痙攣のような感覚さえありました。すべての大会ってわけではないけど、キャリアを通して課題のある要素ではあったので、自然に任せて跳ぶようにしていて、以前ほどは無理をせずにできる段階になってきていると思います。まだ発展途上ではあるけど、今日の着地は「絶対に転ばない、大丈夫」と確信できていました。「私たちは大丈夫、後半もうまくいく」って。最高潮にエキサイトしちゃう瞬間もあったけど、お互いに「落ち着いて」って声に出し合って、冷静さを保っていました。
オシェイ スロウ・ループを着氷して、ランディング姿勢のまま「落ち着いて」ってぼくに言ってくるんですよ。(笑)
カム プログラムの前半は黙ってやっていたんだけど、後半はジャンプの要素が終わって、ずっとお互いに「OK、大丈夫」って声をかけ合いながら滑っていました。

―― イタリアチームの結果が出て、結果としてはショートプログラムより1点多くチームポイントを持ち帰れることになりそうです。
オシェイ チームUSAを助け得るためには1点でも多く持ち帰るのはとても大事なことです。戦略としては日本ペアにできるだけ近づくことですから。彼らが1位になったときに、ぼくらが1点でも迫ることができていれば、それはぼくらにとって大きな勝利になると思います。

―― 昨日はどんな準備をして今日のフリーに臨みましたか。
カム SPは初めてのオリンピックという緊張感もあってどうなるかわからなかったけど、そのあとの練習ですごく調子がよくなったのを感じました。練習のあとに、ダニーにもコーチたちにも伝えたんだけど、ようやく私がしてきた努力がダニーの助けになって、ダニーの努力が私を助けてくれていると実感できたんです。それの効果が表れて、より一体感を感じられるようになったし、オリンピックでもいつもの大会のように戦うことができたんだと思います。リンクはリンクなんだから。お互いのがんばりが、メンタル面でもフィジカル面でも確実に助けになったと思います。

―― 最後のジャンプ要素を終えたあと、笑顔になっていましたね。
オシェイ 観客とぼくら1人1人から湧き上がるエネルギーと喜びを感じながら、最高のパフォーマンスの集大成へ向かう高揚感に包まれていました。その瞬間を迎えることや、演技を続けていく興奮がぼくらを最後まで駆り立てていました。
カム ダニーがよく喜びについて話してくれていて、一瞬一瞬を楽しむように心がけていました。お客さんもそれを感じとってくれていたと思います。みなさんが私たちの演技を楽しんでくれているんだというエネルギーを感じられたし、私たち自身も楽しめていた。それを最後まで貫き通したい、1つ残らずやり遂げたいという気持ちでした。

―― 演技後の歓声のなかで、どんな気持ちでしたか。
オシェイ みなさんが応援してくださって、世界中の国旗が掲げられているのを見て、信じられないくらいうれしい気持ちになりました。オリンピックの素晴らしいところの1つは、スポーツやパフォーマンスを応援できるところだと思います。フィギュアスケートは芸術とスポーツが等しく融合した競技で、お客さんに感情を届けることができる。今日の演技では、それを実現できてよかったです。お客さんのエネルギーや歓声、すべてが素晴らしくて、みなさんとあの瞬間を共有できたことに感動しました。
カム 私は泣きたかったんだけど、うれしすぎて泣けなかった。それで結局、2人して叫んじゃって。でもお客さんもみんな叫んでくれていたから、私たちの叫びはわからなくなっていたと思います。(笑)

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