ミラノ・コルティナ・オリンピック団体戦最終日が2月8日、ミラノ・アイススケートアリーナで行われ、日本は2大会連続となる銀メダルを獲得し、来たる個人戦に向けて最高のスタートを切りました。この日、まずペアフリーの三浦璃来&木原龍一組が自己ベスト155.55点で1位、次に女子フリーの坂本花織選手が148.62点で1位となり、合計順位点でトップのアメリカと並んだ日本。最終種目の男子フリーでは、初のオリンピックの舞台で佐藤駿選手が自己ベストの194.86点をマークする会心の演技を見せました。結果は合計順位点68点で、惜しくも2位。1点差の僅差で銀メダルでしたが、前回大会金メダルのアメリカと最後まで競り合い、日本の競技力を世界にアピールしました。銅メダルは60点で地元イタリアが獲得しました。
三浦璃来「155点もいただけるとは思っていませんでした」
団体2日目を終えて、5点差でトップを追う日本は、決勝2種目のペアフリーに“りくりゅう”こと三浦璃来&木原龍一が登場した。映画「グラディエーター」の音楽に乗って、冒頭の3回転ツイストから演技を開始すると、3連続のジャンプシークエンスやスロウ3ルッツを降りて勢いに乗り、リフトを決めて、スロウの3ループ、最後のコレオシークエンスまで、SPに続いて、圧巻の演技を披露。フィニッシュポーズで、木原の頭上にリフトされた三浦は何度も拳を突き上げ、喜びを表現した。自己ベスト更新となる155.55 点を獲得し、1位となり、合計順位点49点でアメリカに2点差に迫った。
今回でオリンピックは4回目の出場になる木原は、「ソチ、平昌というのは、なかなかチームに貢献することができず、シングルの方々に助けていただく場面が多かったと思うんですけれども、北京と今回、力になることができて、本当にうれしかったと思います。13年前、こういう立場で、日本が団体戦に挑める日が来るってなかなか想像できなかったので、本当によかったと思いますけど、まだまだ日本でがんばっていかないといけないんじゃないかなと思っています」とこれまでの道のりを振り返った。いっぽう、キス&クライで得点を見て、驚きのあまりひっくり返る場面が見られた三浦は「155点もいただけるとは思っていませんでした。でも自分たちのベストを尽くせば、150は出るかなとは考えていました。このリザルトを見ても、まだまだ伸ばせるところはあるなと感じたので、個人戦はもっと上を目指してがんばりたいなと思っています」と力を込めた。
坂本花織「うれしい気持ちがめっちゃ大爆発しました」
りくりゅうから2位でバトンを渡された坂本花織が女子フリーの最終5番滑走で登場した。冒頭のダブルアクセルを決めると、3ルッツ+2トウ、3フリップ+3トウなどを着氷。後半予定していた3連続ジャンプが2アクセル+2トウループの2連続ジャンプになった以外は、ほぼすべてのジャンプを決めた。演技後に悔しそうな表情を見せたが、キス&クライで148.62点でトップに立ったことを知ると、驚きの表情を見せ、喜びの涙を流した。坂本は「今日は3連続ができなくて、ちょっと失敗してしまったんですけど、それでも148が出たのに驚いて、その後にジャパンの左側が『1』だったので、それが何よりうれしくて。うれしい気持ちがめっちゃ大爆発しました」と笑顔で答えた。
順位点10を加え、アメリカと同点で最終種目の男子フリーへ。坂本は、フリーに出場する佐藤駿へ「メダルの色とか関係なく、オリンピックに出てメダルのチャンスがあるってだけでも本当にすごいことなので、自分の演技をしといでって言って。金メダル獲れたらそれはすごいことだし、金メダルはオプションぐらに考えていこうという感じで声をかけた」とエールを送ったとし、「あとは駿くんが思い通り滑ってくれたらいいなと思っています」と願いを語った。
佐藤駿「1位を獲りたかったという気持ちが強かった」
女子フリーを終えて、日本とアメリカの合計順位点はともに59点。最終順位は、最終種目の男子フリーに持ち越された。大舞台を任されたのは、佐藤駿。直前にイリア・マリニンが200.03点をマークし、熱気に満ちたなか、リンクインした。佐藤にとって、オリンピック初出場で今大会初の演技。「火の鳥」に乗って、トレードマークの4ルッツを完璧に決めると、3アクセルからの3連続ジャンプ、4トウ+3トウ、さらに後半には3アクセル+2アクセルのシークエンスなど、3本の4回転を含むすべてのジャンプを成功させた。演技を終えると、力強くガッツポーズ。場内には、大歓声が響いた。見守っていた日本の仲間たちも、佐藤の渾身の演技に涙した。注目の得点は自己ベストの194.86点。だが、惜しくも結果は2位。キス&クライで、得点を見た佐藤は涙がしばらく止まらなかった。
佐藤は「率直に目指していたのは、優勝だったので、1位を獲りたかったという気持ちが強かったんですけど、でも結果的に自分はマックスの演技をすることができたので、本当によかったと思っています」と語った。
じつは、「イリア選手に勝つことができれば、日本が優勝だ」。最終滑走の前、そう思っていた佐藤は、「技術点の差を埋めるには、4回転を増やすしかないのかな」と考え、直前の6分間練習で4回転フリップを跳んでみたという。だが、冒頭の4ルッツを降りたあと、成功率の低い挑戦はさけて、「いつも通りの構成でしっかりまとめよう」と切り替えた。
メダルが決まったあと、仲間にたたえられた佐藤は、「みんなから本当によくがんばったとか、たくさん言っていただいて、すごくうれしかった。今日もりくりゅうペアから始まって、花織ちゃんというふうにいいバトンが繋がってきたので、そのバトンをしっかりと最後に落とすことなくちゃんと届けられて、すごくよかったです」と安どの表情を見せた。「このいい流れを個人戦でもしっかりといかしていけるようがんばっていこうと思います」
竹内洋輔強化部長「すべての選手の演技を誇らしく思っています」
2大会連続の銀メダルを獲得した日本。選手起用の全権を任された竹内洋輔フィギュア強化部長は、「今日までのすべての選手の演技をぼくはすごく誇らしく思っています。『最高のチームだ』と選手たちがみんな言って、この結果に上り詰められたと思います」とコメントした。
団体金メダルを獲得するには、アイスダンスの競技力の向上が必須だ。竹内強化部長は「実際には、彼ら(うたまさ)はやるべきことはやり切った。この試合は順位点ですので、相対的な場のところで勝たねばいけない。たった10ヵ国しかないなかで順位を上げるのは想像以上に難しい」と言い、「アメリカに勝つのは難しいですけれども、全員がここまで演技をやることによって、女子が終わったタイミングでは1位に行くことができ、合計8種別のなかで5つ1位を取った。日本の力がここまで上がって、選手たちも達成感を感じている。だからこそ、佐藤駿くんの演技に対して誇らしく思うとみんな言っていたと思います」と続けた。今後の強化については、「シングルが強いという強みを生かして、シングルからペアへの転向がまず成功していると思います。シングルの高いスケーティング技術を持った選手たちがアイスダンスのなかに参入していくことや、非常に若いころからアイスダンスの高いレベルの競技者を増やして、競争を激化させていくことが非常に重要」と話した。




