2025年10月27日
GP第2戦 日本男子フリー後コメント全文

カップ・オブ・チャイナ 男子で佐藤駿が2連覇

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10月25日、GP第2戦カップ・オブ・チャイナの大会2日目で全種目のフリーが行われ、男子ショートプログラム(SP)首位の佐藤駿選手(エームサービス/明治大学)がフリー183.99点、合計278.12点で大会2連覇を果たしました。2位と3位は、SPと変わらずダニエル・グラッスル選手(イタリア)、ミハイル・シャイドロフ選手(カザフスタン)。SP4位につけていた山本草太選手(MIXI)は9位でした。佐藤選手と山本選手のフリー後のコメントをお伝えします。

男子1位 佐藤駿「みんなの支えがあって乗り越えられた」

―― 優勝おめでとうございます。

佐藤 勝てると思っていなくて、先週から苦しい練習や、モヤモヤがあったりして、うまく練習できていなかったんですけど、そのなかでSP、フリーともに揃えることができてうれしく思っています。

―― モヤモヤとは。

佐藤 怪我もあったりして、なかなか自分の思うような練習ができず、練習時間自体も絶好調のときより少ない練習時間でやっていたので、あまり調子もあがっていなくて。その状態での中国大会だったので、すごく不安もあったんですが、ファンのみなさんの声援だったり、日下先生だったり、トレーナーさんも、みんなの支えがあって、乗り越えられたなと思います。

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―― 練習量は絶好調のときの何割ぐらい?

佐藤 だいたい自分のなかで練習時間は決まっていて、45分か40分の練習を3回。朝、夕方、夜みたいな感じでやっていたんですけど、いまは夜だけとか、朝30分+夜30分とか、だいたい1日1時間の練習ぐらいしか。それ以上はやめるようにしていて、3分の1とか半分くらいの練習量になっています。

―― 日下コーチのガッツポーズを見て。

佐藤 いつも通り、ぼくより喜んでるなと思っていました。

―― タオルを被っていたのは?

佐藤 うれしかったのと、疲れたな、やり切ったなという感じです。

―― 最初の4ルッツについて。

佐藤 自分のなかで(あとは)ルッツだけという感じで、ルッツ以外のところは練習でもまとまっていたので、ルッツが決まってそのままいけたかなと思います。

―― 最後のジャンプ後にはガッツポーズが。

佐藤 久しぶりに本番中にしたなという感じだったんですけど。(笑)なかなか自分のなかでいい練習ができていないなかで、すごく不安も大きかったんですけど、こっちに来てからファンのみなさんの声援がすごく後押ししてくれて、そのおかげでいい演技ができたのかなと思います。

―― マックスの構成でなくても自己ベストに迫る得点が出ました。

佐藤 シーズンベストを出したいと、今回は思っていたので、まずはシーズンベストを出すことができてうれしく思っているのと、フリップはドリーム(・オン・アイス)以降1回も跳んでいないので、足の状態も徐々に(痛みが)ゼロに近づいてきているのかなと思うので、NHK杯には間に合わないと思うんですけど、それ以降の全日本であったりとかには入れられるようにがんばっていきたいなと思います。

―― 演技後は珍しく感情的になっていたように見えました。

佐藤 正直、いままででいちばん悪いシーズンのスタートダッシュで、正直痛みもとれてるのか、とれてないのかわからない状態で、グランプリシリーズを迎えてしまって、すごく不安もあった。練習も絶好調のときより減ってしまって、いい練習もできていなかったんですが、そのなかでもトレーナーさんの治療もあって、足の調子もよくなってきて、そのおかげでショート、フリーともにノーミスの演技ができたので、なんて言うか……よかったなと思って、ホッとした感じです。

―― 安堵のほうが大きい?

佐藤 安堵のほうが大きかったですし、正直、ここで優勝できると思っていなかったので、まずはトレーナーさんに感謝したいです。

―― 去年の初優勝とは違った喜びが?

佐藤 毎回、初戦はあまりよくないというか、出だしがそこまで、去年、一昨年も、その前も、初戦はあまりよくなくてというのが多かったんですけど、今回は初戦からいい演技ができて、よかったなと思います。

―― 大事なシーズンで初戦から結果を出せて、成長を実感しますか。

佐藤 そうですね。でも、ここからなのかなと自分では思っているので、まだプロトコルを見ていないんですが、まずは見て、ショートはスピンだったり、ステップの取りこぼしがあったので、そこは直していって、あとはジャンプの加点をもう少しとれたらうれしいので、いいジャンプが跳べるように練習していきたいなと思います。

―― いまの状態でこれだけの点数が出たのは、地力の証明では。

佐藤 ルッツだけという感じだったので、ほかはトウとアクセルはむしろ去年より調子がよかったので、ルッツだけが不安だなと感じていたんですが、ルッツがこっちに来てようやく上り調子になっていった感じだったので、その調子のままショートとフリーといけたのが大きかったのかなと思います。

―― 会見で話していた「いい流れ」はルッツの調子という点で?

佐藤 とくにショートで決められたのが大きかったと思います。

―― 「勝てると思っていなかった」というのはSPのあとも?

佐藤 そうですね。本当にあまり順位は気にしていなくて、自分のシーズンベストを出すことと、怪我を悪化させないこと、怪我なく、そしていま自分ができること、やれることをやろうと思って、ショート、フリーともに臨んだので、優勝することができて、いまはうれしく思っています。

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男子9位 山本草太「練習を積み重ねてリベンジできたら」

―― 演技を振り返って。

山本 ……そうですね、まあ気持ちもあったんですけど、やっぱりもうフリーは本当に練習できてこなかったことが本当にそのまま出ちゃったなと言うか、出るべくして出たなと思いますね。本当に、練習してないので、言えることがないんですけど、練習そのままが出て、情けない演技になってしまった。途中から、「ここまでなのかな」っていうふうにちょっと思っちゃった部分もありました。でも、練習はできてこなかったので、まずはちゃんと自信を持って、確信を持っていけるってところまで練習を積んで、試合に臨めたらなとは思います。

―― 痛みがあるというよりは、体力的なところで?

山本 そうですね。今回は本番は痛みはなかったので、やはり練習が詰めてこれてなかった。まあショートはなんとか、エレメンツが少ないので乗り切れますけど、やっぱりフリーは本当にそのまま出ると思う。今までは治療に専念してきたので、ちょっと本気で練習したいなと思っています。

―― 最初の4回転トウループは少しタイミングがずれた?

山本 そうですね、ちょっとタイミングが……腰が回りすぎちゃって、たまにあるミスなんですけど。もう本番なので、スルーしてられないなと締めたんですけども、後半はスルーしてしまって、まとまりのない演技になってしまったと思います。

―― 「ここまでなのかな」というのは演技のいつごろ……。

山本 コレオのイーグルをして天を見上げている時に、何かもう「ここまでなのかな」というのがちょっと一瞬よぎっちゃって。でも、そう思う権利はないですし、本当にもう練習して来れなかったのが、そのまんま出たと思っているので。練習できてたら、そう思っても仕方ないですけど、まずは次のフィンランドに向けて……どうでしょう、うーん、そうですね。全力で練習をしたいなと思います。

―― 3ルッツ+2アクセルで跳ぼうとして抜けてしまったというのは。

山本 それもタイミングが合わなくて。普通にやっていたらあんなミスはないと思うんですけど、練習してないのでイレギュラーなミスが出た。タイミングも、毎日毎日繰り返し練習するものなので、やっぱりそういった感覚とか、通しの練習というのが全然できなかったので、本当に情けない演技でしたけど、そうならざるを得ない10日間だったかなと思うので、しっかり受け止めて、もう怪我、怪我と言っていられないので、練習しまくります。

―― タイミングが合わなかったのがいちばんの問題でしょうか。

山本 トウループもタイミングが合わなかったりするんですけど、うーん、タイミングだったり、もちろん体力もそうだし、通しの練習がやっぱり少なかったと思うので、もろもろ重なっての今日の演技だと思うので、もう本当に……最悪でした。

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―― 「ここまで」と思ってから奮い立たせられた要因というのは。

山本 正直もう、ちょっと演技途中から、奮い立たせられる余裕も暇もなく4分間終わっちゃったなという感じで、いつも悔しい思いばっかりしているんですけど、毎回こういう悔しい思いをしないように、次全力で、まずは練習を積み重ねてリベンジできたらと思います。

―― 複合的なのでしょうが、ご自身としては体の状態の影響が大きいのか、練習ができていないから感覚がいつもと違うのか、どうでしょうか。

山本 今日は体の痛みはなかったので、体の痛みによっての治療だったりとか、普段のやりたい練習っていうものがやはり2割程度しか毎日できない。ノーミスの演技を目指したいって時に、こういった練習をしなきゃいけないというプランはあるんですけど、やはりその練習が毎日積み重ねられないっていうもどかしさはある。でもこういった状況でも、やっぱりやれるかどうかという強さが問われると思いますし、練習できてないから求めすぎな部分はあるんですけど、まあ仕方ないっていうところが半分と、相変わらず弱えーなというのが半分あります。

―― 日本からもファンの方がいらしてると思うんですけど、この苦しい状況下で応援してくれるファンの皆さんへは。

山本 そうですね。前のジョージアのCS(トリアレティ杯)だったりとか、こういった中国の試合にも、海外・日本問わず、本当に会場に応援に来てくださって、前の試合は棄権になってしまったりもした中でも変わらず応援してくださったり。どん底の演技のときでも変わらず応援してくださって、苦しいときに変わらず支えてくださっているので、感謝してもし切れないですし、でもそういった方々にいい演技を届けたいなという思いはいつもあるんですけど、これがいまの実力だと思うので、まあまた、全力で練習をしたいなと思っています。

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