中部選手権3日目が9月21日に行われ(邦和みなとスポーツ&カルチャー)、男子で山本草太選手が、女子で松生理乃選手が優勝しました。また、ジュニア女子ではSP3位だった星碧波選手が転倒のないクリーンな演技で優勝。表彰台の頂点に立ちました。
山本草太、松生理乃が優勝し、弾みをつけて今シーズンへ
男子では山本草太(MIXI)が246.80点で優勝。腰の負傷でCS木下グループ杯後に10日間の休養を取ったこともあり、ジャンプ構成の難易度を落として臨んだものの、表現の面ではその10日間に自身で考え深めたテーマ性を盛り込んだ内容で、よどみなく熱のこもったパフォーマンスを演じきった。2位は三原庸汰(ノイエス金沢FSC)、3位は誉田知己(中京大学)だった。
山本草太「体力がもつか心配だったんですが、SPをやってみて大変なことはわかったので、ぎりぎりでしたけどもってよかったなと。構成は落としている状態なので、できる限りでやれることはやったかな。練習では表現の方に気を配れるようにはなってきたんですけど、今日は後半バテてしまって、自分がイメージしているものは出せなかったんですけど、少しずついい部分も出てきていると思うので、構成を戻したうえで、自分が感じている「ハレルヤ」を表現できたらなと思います。
怪我で氷に乗れない期間、自分の映像を振り返ったり曲の意味を調べ直して、イメージトレーニングをやってたので、ちょっとは生きているかなと思う。人生はいいときも悪いときもあると思うんですけど、それもすべて含めて「ハレルヤ!」と思わず口ずさんでしまうような、そういうスケート人生をテーマに表現できたらなと思います。宗教的な部分というか、神と対話しているような、そんなイメージもあったり、自分のなかでイメージをふくらませて、世界観をしっかり作って表現していけたらなと思います。
オリンピック出場は目標にしているし、この状況でどこまでやれるか、ここからどうやって戻していけるのかを自分のなかでも楽しめているし、期待して待っていていただけたらなと思います。戻します!
いまの時代便利で、「ハレルヤ 意味 」とか「和訳」とかを調べると沢山出てくるので(笑)、和訳した動画とかで自分なりに解釈を深めた感じです。振付のときもローリー(・ニコル)さんがおっしゃっていたんですが、いま怪我とかで練習できない期間があったり、いままでもいいことばかりじゃない、苦しい場面も、いろんなことを含めたスケート人生だったんですけど、それも含めて「ハレルヤ」というか、自分の魂みたいなものを感じていただける表現が理想かなと思います」
女子は松生理乃(中京大学)が1位のSPに続いて、フリー「くるみ割り人形」で優美に滑って194.39点で優勝を決めた。ジャンプにミスはありつつも、それに左右されない流れのあるスケーティングでプログラムをひとつの作品として編み上げた。
松生理乃「ミスが出てしまったのは悔しいですが、全体を通してのびのびと気持ちよく滑れましたし、点数も思っていた以上にいただくことができて、今日は悔しい気持ちもありつつ、「終わった、よかった」という気持ちでいっぱいです。あまり調子がよくなくて、そのなかでなんとかまとめることができて安心の気持ちが大きいです。ロンバルディア杯が情けない結果だったので、このままではだめだと、帰国後1週間しかなかったんですけど、とにかく必死に練習しようと思ってやってきました。ここからが本番になってくるので、今日のようなミスがあってはいけないので、しっかり練習してグランプリは2戦ともノーミスを目標に、最終的には全日本で2本とも自分が思い描くようなノーミスの演技をして、そのあとの試合に派遣していただくのが自分のいちばんの目標です」
2位は3ルッツ+3トウなど質の高いジャンプとおおらかなスケートが光った山下真瑚(中京大学)。「後半のループがリピートになってしまったのが悔しくて。でもフリーは今季、まとめられる演技が続けられているので、自信になるなと思いました。ステップは足動け!と思いながら滑りました」。3位は「愛の讃歌」で大人っぽい表現を見せた横井きな結(中京大学)が入った。「もう少しでノーミスだったのにと悔しさもありましたが、去年は怪我でシングルやダブルジャンプしか跳べなかったので、1年かかりましたけどここまで戻せたのは安心な部分かなと思います」と話し、今夏ジュニアの榎本ミクが怪我に苦しんだ折に、「いまから伸びていく時期に怪我があったと知り、きっと焦っているだろうなと思って、焦っても何もいいことがないと私は知っているので、とにかく焦っちゃだめだよ、ミクちゃんなら絶対に通るから、無理に跳ばなくて大丈夫だよと伝えさせてもらいました」というエピソードを明かした。
4位は社会人スケーターとして唯一無二の存在感を放つ大庭雅(東海東京FH)で、「自分のやりたい演技がしっかりできたかなと思います。今シーズンも全日本選手権出場を目指して毎日練習を頑張っているので、西日本選手権でも悔いなくSPもフリーもベストを出して、全日本出場できるように頑張ります」とコメント。
ジュニア女子では、星碧波(グランプリ東海クラブ)がSP3位から2つ順位を上げて優勝を勝ち取った。讃美歌に乗って天真爛漫に、転倒なくクリーンに滑った演技はスタンディング・オベーションを獲得。「ミスなく終えることができて、自己ベストが出せてうれしいです。昨日のショートではミスをしちゃって悔しかったんですけど、今回は表彰台に乗れるチャンスだと思って、(フリーでは)絶対ノーミスしたいと思いました。まだ3+3が跳べないので、一歩でも近づけるように頑張りたいです」。2位は大野友心音(名東FSC)、3位は榎本ミク(名東FSC)だった。
写真はすべて©World Figure Skating/Shinshokan