佐藤駿「メダルを獲りたい思いがすごく強い」

―― 幼いころに「浅野先生をオリンピックに連れていく」とお話しされていたそうですね。
佐藤 浅野先生は本当に優しい先生。普段も見守ってくれている感じがすごく強いですし、なんでも頼りやすい。小学生のとき、震災のときにお世話になって、そういった部分も強かったので、今回オリンピックに連れて行くことができてすごくうれしく思います。
―― メダル争いの実感。
佐藤 そのぐらいまでになってきているのはすごくうれしいですし、メダルを獲りたいという思いはすごく強い。ただ、周りの選手のことはあまり気にしないでがんばっていこうかなとは思っています。
―― オリンピックまでにつらかったことを3つ挙げるとしたら。
佐藤 去年の全日本が3番目、2番目は今年の怪我、1番は肩を脱臼したとき(2021年全日本選手権)がいちばんつらかったかなと思います。ここからどう上げていけばいいのかわからなかったですし、そこまで氷上に乗れなかったのも初めてだったので、すごく不安だったりつらかったのを覚えています。
―― 脱臼から復活の過程を振り返って。
佐藤 自分でもどうよくなっていったのかあまり覚えてはいないんですけど、日下先生もすごく優しく接してくれましたし、周りの温かさは感じました。
―― コーチ陣が、佐藤選手は不平不満を言わなかったと話していました。
佐藤 まったくなかったです。(マイナスな気持ちを消化)できてはないんですけど、友だちとご飯いったり、サウナいったり、そのときは気持ちをリラックスしていました。
―― 先生に怒られたことは?
佐藤 ないです。
―― 練習を止められたことは?
佐藤 たくさんではないですけど、去年の世界選手権の前は、「ちょっともうやめといたら?」と言われたりはしました。
―― そのときに「もっとやりたいのに」と思ったりは?
佐藤 でも、逆にそこでストップをかけてくれたので、「いまはやめておこう」と気持ちをリセットできましたし、そこで無理していたら、もしかしたら怪我をしていたかもしれないので、日下先生にはそういった部分で助けられているな感じます。
―― 平常心じゃなくなってしまったことは?
佐藤 ジャンプが跳べなかったり、調子の良し悪しもたくさんあるので、なんで跳べないんだと思うときはあります。そういったときに気持ちを1回リセットして、ぼくは1回止めるようにしているので、オフをとるとか。いまでは何がだめかとか、原因もだいたいつかめていきているので、最近はそんなにないです。
―― 中国杯や全日本選手権で感極まるシーンもありました。
佐藤 自分でもここまでいいシーズンを送れるとはまったく思っていなかったので。中国大会も怪我がありながら、試合中に痛みが出なきゃいいなと思いながら本番に立っていたので、そのなかでノーミスの演技ができたのがすごくうれしかったですし、結果も伴ってきたので感極まる試合は多かったのかなと思います。
―― 日常生活でイラっとすることは? 飼っているインコにつつかれたり?
佐藤 (インコは)懐いていて。ぼくは動物にけっこう好かれるんで。(笑)ゲームで爆死したときとか、何も出なかったときは「おい!」ってなります。基本スケートしているか、家でゴロゴロしているかなので、”日常生活”もそんなにないですね、正直いうと。
―― 「納得するまでやる」という性分も普段から?
佐藤 何か1つを完璧にできるまでやっちゃうというのは自分のなかでありますね、スケートに限らず。
―― たとえば?
佐藤 ゲームになっちゃうんですけど、いまちょうど埼玉のグループでマイクラ(マインクラフト)にハマっていて、ずっと朝方までやり続けちゃう。オールまでいかないですけど、自分でここまではいきたいと言ったところまでは絶対にやろうって。どんだけかかっちゃってもやっちゃうというのはあります。今日は早く目標達成できたので、早めに切り上げて寝ました。オフシーズンのときには、5時とか4時くらいまでやっていました。

試合前は羽生結弦さんの演技を見て気持ちを作る
―― 演技前に羽生結弦さんの演技を見るようになったと話していましたが、いつごろから?
佐藤 いままではそういったことをしていなかったんですけど、自分のなかで観戦でスケートを見たあとってすごくスケートがしたくなるというか、早くやりたいなという気分になるなと思って。そしたら動画を見てから本番に臨んだら、「早く試合したい!」っていういい気持ちで臨めるんじゃないかと思って、世界選手権から見ています。
―― 見るのは?
佐藤 アップのときからです。1時間前とか。6分間終わってからもたまに見たりしますね。
―― 演目は?
佐藤 おすすめとかに出てくる。イチオシももちろんありますけど、出てきたら見たくなったのを見て気持ちを高めているっていう感じです。
―― 効果は?
佐藤 実際本番もそういった気持ちで臨めていますし、結果としても世界選手権からは緊張もなくなったというか、前よりいい気持ちで臨めているかなと思うので効果は出ているのかなと思います。
―― ぜひイチオシを。
佐藤 2019年のグランプリファイナルとカナダ大会のフリーがすごく好きです。「Origin」。
―― ”佐藤駿のルッツ”を言葉にすると?
佐藤 自分のなかで、ぼくのルッツは回転不足やエラーがとられないクリーンなジャンプが武器だと思っているので、そういったジャンプを今後も出し続けられるようにがんばりたいと思っています。
―― イリア・マリニン選手をはじめ、現在の男子フィギュアのなかで戦うことは挑戦し甲斐があると感じますか? それとも難しさが大きい?
佐藤 世界的に見ても、マリニン選手だけじゃなくて、ほかの選手たちも、自分の武器でもある4回転ルッツも当たり前のように跳んでいますし、誰が勝ってもおかしくないとは思っているので、そういったなかで戦えるのはすごく楽しみです。ぼくのなかでは誰が勝ってもおかしくないと思っているので、ワクワク感というか、早く試合がしたいなという思いが強いですね。
―― 「火の鳥」は日下先生も思い入れのある作品だそうですね。
佐藤 (プログラムが)決まってから知りました。知ったときはなにか運命的なものを感じましたし、このプログラムでオリンピックで滑りたいという思いはあったので、それが叶ってすごくうれしいです。本番でもいままででいちばんいい「火の鳥」が出せるように、キスクラでいままででいちばん喜んでもらえるようにがんばりたいと思います。
