2025年12月20日
三浦璃来&木原龍一組がアクシデントを乗り越え首位発進!

全日本選手権2025ペアSP 三浦璃来&木原龍一「絶対に自分たちは成長している」

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東京・国立代々木競技場第一体育館で開催中の全日本選手権2025は12月20日、ペアSPが行われ、三浦璃来&木原龍一組が首位に立ちました。直前の6分間練習の途中で三浦選手が肩を脱臼してしまうアクシデントに見舞われながらも、チームでピンチに対応し、万感こもるパフォーマンスを完遂、参考記録ながら世界最高得点を上回る84.91点をマークしました。演技直後の2人のコメントを全文でお届けします。

木原「心臓が止まるかと思いました」

SPを滑り終えて ©Yazuka Wada

―― 演技を終えた率直な思いは。
三浦 ちょっとしたハプニングもあったんですけど、それにフォーカスしすぎずにきちんと切り替えてショートプログラムに挑むことができたので、それは本当に去年からの大きな成長だなと思っています。
木原 心臓が止まるかと思いました。(アクシデントが起きた場面が)予想していないクロスカットだったので、普段つまずくことがない角度でしたし、そんなに強くホールドしていなかったので瞬時に対応できなかった。そのあとぼくもちょっと動揺があったんですが、2人とも(昨季の)グランプリファイナルでの脱臼の経験があって、1年積み重ねてきたものがしっかりあったので、それを試合前に、1年間やってきているから絶対自分たちは成長していると話して。怪我をしたことにフォーカスするんじゃなくて、どうやったらできるかをフォーカスしようと強く言い続けました。

-- 演技前には木原選手から三浦選手へ話しかける場面がありました。
三浦 最初のポーズにつく直前までずっと励ましというか、「あなたはできる、怪我をしたことにフォーカスをするな」と。ちゃんとエレメンツごとにしっかり集中して、いろんなことを考えるんじゃなくて、1つ1つのことをまず考えなさいと言われて。いままでも何回も直前に怪我をしたりはあったんですけど、今回でやっと気持ち的にもすごく強く、最終的には挑めたかなと思います。
木原 怪我をしてしまったことはもうしょうがないと。やはりその不安はあったと思う。ただ、そこにフォーカスしてしまったら去年のグランプリファイナルと一緒で、修正不可能な状態になってしまうので、自分たちができることを信じようということを伝えていました。

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-- 演技のなかではどんなことを感じていましたか。
三浦 リフトのタイミングのズレが、私自身にあったので、そこにもうちょっとフォーカスしないといけなかったかなと思ったポイントですかね。それ以外は本当によかったと思っています。
木原 (三浦に)スピンは合ってた?
三浦 スピンは合ってたと思う。
木原 スピンが収穫ですね。今シーズンいちばん苦しんでいたエレメンツ、スロウはもちろんハマらないときはあるんですけど。スピンは自分たちで得意としていたんですが、少しシーズン初戦からあまり合ってなかったんですけども、グランプリファイナル終了後から技術的なズレをしっかり修正できて、やっともってくることができたのでよかったと思います。

-- 滑走後の思いは?
三浦 終わった直後に心配の言葉をいただいたので、本当になんか……申し訳ないなという気持ちがありました。
木原 とにかく怪我が悪化せずに終わってよかったというのと、よくやったねという安堵の表情ですね。とにかく無事に悪化せずに終われてよかったという表情だったと思います。

ーー 得点発表の瞬間はどんなことを?
三浦 いや、正直、70後半出ればよかったかなと思ったんですけど。
木原 74ぐらいかな。レベルをどれだけとれているかわからない状態だったので、ぼくたちも。ちょっと落としたかなというのもありましたし、氷のタッチアイスがあったので、厳しいかなとは思っていたんですけど、80点出すことができたのでよかったかなと思います。

-- 3度目にして初のオリンピックイヤーの全日本選手権です。
三浦 私たち自身は本当に毎試合、毎試合、同じ気持ちで臨んでいて、今回の全日本も自分たちのやってきたことをすべて出す、と。それを目指してやってきているので、シーズンごとに気持ちが変わるということはないです。
木原 とくに試合で特別視しているわけではないので。ただ、この雰囲気は、ぼく自身は8年ぶりで、チームを組んでからは初めての経験なので、素晴らしい経験かなと思います。

ーー 明日のフリーに向けて。
三浦 まずはいまの肩の状態をこれ以上悪くしないようにすることと、そのなかでも自分たちがやってきたことを出せるようにがんばりたいと思います。
木原 怪我なく終えたいなという思いだけです。それだけです、明日は。

ーー 三浦選手の最後の涙は安堵から?
三浦 そうですね。腕がずっと不安定な状態で、最初のポーズからけっこう不安だったので、本当に外れなくてよかったという涙ですね。

―― いまの肩の状態は?
三浦 とりあえずは外れたばっかりで、トレーナーさんもいらっしゃるので、明日に向けてきちんとコンディションを調整していきたいかなと思います。

三浦「みなさまの力がなければ、私は無理なんです」

-- 外れたときの状況を教えていただけますか。
三浦 技とかではないんですけど、(6分間練習の)スロウルッツにいく前のクロスカットのときに、たぶん私がつまずいてしまって、その拍子に(体が)変な角度に入っていて、いちばん弱い角度があるんですけど、そこで引っ張る感じになったので(肩が)外れてしまって。そこで戻らなかったので、リンクサイドにトレーナーさんがいらっしゃって戻してもらって、そこから続けたという感じです。

ーー 古傷だと思うのですが、練習のなかでもそういうことはまれに起こる?
三浦 今シーズンはけっこう気をつけていたのでなかったです。今シーズン初めての脱臼です。

-- 痛みの程度は。
三浦 そこまでひどくはなくて。去年のファイナルがいちばんひどかったんですけど、そのなかでもきちんとショート、フリーを通せたという自信が一応あったので。不安だったんですけど、いままでやってきたことを信じてやろうと決めて、やりました。

-- テーピングは?
三浦 テーピングをしてしまうとスロウの感覚がすべて変わってしまうので、直前でするのは危ないかなと2人で話し合って、しないことにしました。
木原 去年のファイナルは脱臼して、テーピングしている状態で試合に出場して、そこで感覚が狂ってってしまって、全部崩れてしまった。その経験があったのと、時間も2番滑走でなかったので、テーピングをしないという判断で、いつも通りの感覚でいったほうがより安全にやれるという判断を、2人で話してしました。

-- 演技中に痛みはあった?
三浦 そうですね。外れたばっかりだったので、最初のポーズからの振付で、両手を挙げるところがあるんですけど、あそこの時点でちょっと不安定だなと思っていったので、演技中はけっこう不安だったんですけど、エレメンツ自体はそこまで悪くなかったので本当によかったかなと思います。

-- リンクサイドで肩を入れた?
三浦 そうですね。外れたままだったので、トレーナーさんに戻していただいて。

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-- そんななかでも全日本での演技、この得点ということで――
三浦 (演技のプロトコルを見て)なんでレベル4と?
木原 ちゃんとお話を聞いてください!
三浦
 ごめんなさい!

-- いや! でも、プロトコルを見てどんな感じですか?
三浦 リフト、タイミングがズレたんですよ、完全に。なんですけど、きちんとレベル4をとることはできているので、本当によかったかなと思っています。

-- 点数が出たときは意外そうな表情でしたよね。
木原 そうですね。(笑)
三浦 70後半乗ればいいかなと思っていたので、びっくりです。

-- 大事をとって構成を落とすという考えはなかった?
三浦 そういうことをしたことがないので。
木原 つねにマックス、フルパワー。
三浦 その(構成を落とす)考え方はないかなと思います。

-- では、フリーも構成は変わらず?
三浦 そうですね。怪我をするときはなんか――
木原 クロスカットだしね。
三浦 そう! そうなんですよ、技じゃないんですよ! だから抜くことはないと思います。

―― このあとは病院にいくのか、ケアをして臨むのか。
三浦 ケアですね。明日まで時間がないですし、私たちのやってきたことをきちんとフリープログラムで出したいので、病院はフリーが終わって、すべてが終わってから行きたいと思います。

―― 外れたとき、木原さんはすぐに気がつきましたか。
木原 そこまで変な角度で入ったと思っていなかったですし、少しつまずいた瞬間だったので、ここで抜けたんだという驚きと、心臓麻痺じゃないですけど、びっくりして。少し動揺が見えたので、その状態で無理にスロウ(の練習)にいくよりは、ショートプログラムの6分(練習)は余るようにセットしてあるので、1回、璃来ちゃんに落ち着いてもらって、そこからいこうということになりました。
三浦 本当にいつも信頼しているトレーナーさんが近くにいてくださって、安心しました。6分終わってからもずっとそばにいてくださって、もう本当にプログラム始まる直前も、そのコーチの方も「大丈夫だ」と――
木原 おれは?
三浦 龍一くんも! 龍一くんも! 龍一くんは当たり前に、でしょ?
木原 う~ん。
三浦 3人で、そうそう。龍一くんがね、いちばんだったんだよ。そう! 龍一くんは(プログラムの最初の)ポーズで始まる前にもちゃんと声をかけてくれたので、本当にみなさまの力がなければ、私は本当に無理なんですよ。
木原 フットワークがいちばん怖かったよね。(腕を)引けないから。手を引いているように見せて全部引いてなかった。本当は引かないといけないところもあったんですけど。
三浦 もう全部調整してくれて。フットワークはね、本当に気をつけてくれていました。

―― 直前のアクシデントのなかで、木原選手が感じた三浦選手の強さは?
木原 動揺はたしかに見られたんですけど、去年と違ったのは、そこからしっかり強い気持ちをもって、自分たちがやってきたことにしっかりフォーカスできたので、それは昨年からの成長だったかなと。去年のファイナルはそこで大崩れしてしまった、その動揺が明らかにプログラムにも出てしまっていたので。今日は最低限、自分たちのやることはしっかりできたかなと思います。

―― レベルを落としているかもと思ったのは、リフト?
三浦 タイミングが若干なんですけど、ズレちゃったかなと思ったので、(レベルを)落としたかなと思ったんですけど。動画を見ないとちょっとわからないんですけど、自分たちがやっているところを。まあ、(レベルを)とれていたのでよかったかなと思います。

―― 怪我のあとに、SPを棄権する選択肢はなかった?
三浦 去年もその状態でやったので、あまりその考えが思い浮かばなかった。
木原 ないですね。出るしかないので。

―― この大会のあとも、ケアと練習を続けていくことになりそうですか。
三浦 1月はトレーナーさんがカナダまで来てくださるので、肩のトレーニングを見直したいなと思います。

―― そのなかでも、SPの得点はスイ・ウェンジン&ハン・ツォンの世界最高得点を超えましたね。
木原 いや~、でも国内なので。
三浦 インターナショナルではないので。

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