12月19日、東京・国立代々木競技場第一体育館で開幕した全日本選手権2025。ミラノ・コルティナ・オリンピック代表選考が懸かる大一番の口火を切った男子ショートプログラムから、4位の友野一希選手(第一住建グループ)、5位の佐藤駿選手(エームサービス/明治大学)、6位の山本草太選手(MIXI)のコメントをお届けします。首位の鍵山優真選手(オリエンタルバイオ/中京大学)、2位の三浦佳生選手(オリエンタルバイオ/明治大学)、3位の中田璃士選手(TOKIOインカラミ)と、友野選手、佐藤選手、山本選手が、20日の男子フリー最終グループで滑ります。
男子SPのダイジェスト&SPトップ3のコメントはこちら>>全日本選手権2025男子SP 鍵山優真が首位、三浦佳生、中田璃士が続く
友野一希「こんなに温かい応援があるのかと、ちょっと話すだけでもグッときます」
―― SPを振り返っていかがですか。
友野 いや、もう笑うしかなかったですね。本当、最後までらしさ全開だったというか、会場の雰囲気も、ミスも(笑)、ちょっともったいない部分も、自分の全部を出してしまったなって。会場の雰囲気は、もう演技前にけっこう泣きそうになるぐらいの、こんなに温かい応援があるのかっていうのを感じて、ちょっと話すだけでもグッときます。
―― 平池先生とはなにかお話しされましたか。
友野 「いつまで経っても可愛いな、お前は」って言われて、「まあそうですよね」っていう感じでした。(笑)どれだけ上のレベルで戦っていても、昔から変わらない演技をしてしまったっていうのは、悔しさはあるんですけど。ぼくまだ「引退」って言ってないんですけど、チーム(コーチ陣)も勢ぞろいで、おれ引退させられるのかなって。(笑)それだけみんな見てくれて、応援してくださってるんだなっていうのも感じながらできて感動しました。
―― スピンのミスの理由をどう振り返りますか。
友野 わかんないです、なんかこけてました。トウに引っかかってて、気合を入れすぎちゃったのかなと。スピンが終わった後の出ってやっぱり難しいので、けっこう確認していたんですけど、できた(正面を向いて出られた)っていうので安心して、たぶんちょっとこけちゃったんです。バカだなと思います。
―― ステップに関してはいかがですか。
友野 (中田)璃士くんとかが「(レベルの判定が)厳しーい」って言っていて、「まあでも自分は大丈夫でしょ」って思ったんですけど、めちゃくちゃ丁寧にクラスター踏んだんですけど……岡部(由起子/テクニカルコントローラー)さん的にはまだぼくの努力が足りなかったっていうことで、やはりかなわないなと思います。(笑)でも明日は、岡部さんにも「これはレベル4だ!」って言ってもらえるような滑りをしたいなと思います。
―― 小さなミスが出た理由をどう考えていらっしゃいますか。
友野 いやもうぼくはもう、本当いまできるMAXをずっと常に更新し続けているなかでのこの演技だと思っているので。やることはやって、そのなかで出たミスはしょうがないと思えるぐらい努力して、もう笑えて終わってるので、それはよかったかなと思います。
―― フリーはどんな気持ちで臨みたいですか。
友野 本当に自分らしく終われたらいいかなと思います。先生方もあれだけみなさん応援してくださって、何より会場の雰囲気もすごかったので、それを恩返し、演技で返せたらいいなと。自分のいままでやってきたことを思い出して、自信をもって、最後の最後、自信をもつ勇気っていうのが大事だと思います。
―― フリーに向けて一言お願いします。
友野 とにかく、笑顔で終われるように。幸せが広がるような、どんなかたちでも、間違いなくいい演技になると思います。
佐藤駿「逆に言えば、ルッツだけ」
-- 会場の雰囲気について。
佐藤 たくさんの声援が本当に励みになりましたし、ジャンプ1本降りる度にすごい歓声をいただいて、本当にうれしかったです。すごく力になりました。
―― 冒頭の4回転ルッツが3回転になったことについて。
佐藤 いつもと入りのタイミングが合ってなかったという感じです。跳ぶ瞬間に「あ! ちょっとヤバいな」と思ってしまったので、トリプルに回転を戻していったんですけど、あのまま締めていたら、おそらく転倒していたと思うので、判断としてはよかったんじゃないかなと思います。
-- 今季、4ルッツのミスは珍しかったと思いますが、ミスの後はどういった心境でしたか。
佐藤 そんなに気にしてはいないんですが、やはり全日本という舞台は難しいなと感じますし、この大会でノーミスの演技をするのはすごく大変で難しいことなんだなと改めて実感しました。
-- 珍しいミスがあっても冷静にプラン変更できたのは、心は落ち着いていたから?
佐藤 そうですね。意外と冷静でしたね。ルッツがトリプルになってからも、次の4回転トウループはしっかりと切り替えてできていましたし、大きなミスなく終えられたのはすごくよかったです。成長したなとは感じています。
-- 演技前に昨季の全日本選手権を思い出すことは?
佐藤 若干思い出したりはしたんですけど、しっかりと切り替えてできたのかなとは思います。でも、やはりルッツの失敗は痛かったと思うので、フリーでは切り替えてがんばっていこうと思います。
―― メンタルトレーナーさんからはどのような気持ちで臨むのがいいと?
佐藤 普段通りというか、練習ではできているので、それを本番で出すだけだなと話していて。試合に向けてのルーティンを相談していました。
-- フリーに向けて。
佐藤 自分的には、逆に言えば、ルッツだけだなと思っているので、冒頭をしっかりと決めきることができれば、そのまま勢いに乗っていけるのではないかなと思う。頑張っていきます。
山本草太「先生が『いける!』と声をかけてくださって、思い切っていけた」
―― SPの演技を振り返っていかがですか。
山本 自信のある4回転+3回転でミスが出てしまって、少し不安が残るサルコウでリカバリーをしなきゃいけない状況になって、弱気の自分も出てきそうなところもあったんですけども、軌道のところで先生が「いける!」と声をかけてくださって、思い切っていけたかなと思います。
―― ステップは迫力がありました。
山本 ミスをしっかりと挽回できるように、スピンやステップはしっかりと少しでも点数を伸ばせるようにっていうところを意識しながらやりました。
―― 終わった後、客席でバナータオルがたくさん掲げられている景色を見たときのお気持ちはいかがでしたか。
山本 真緑に染まっていて、本当にたくさんの方々に応援していただいているなっていうのを、今日も改めて実感できました。6分間練習だったりとか、始まる前、終わった後もすごくたくさんの拍手と声援を送ってくださり、励みになりました。
―― 明日のフリーは構成を変えたりしますか。
山本 グランプリシリーズまでは、最初の4回転サルコウを省いたりということがあったのですが、サルコウは自信をもてるような練習はしてこれたので、明日はしっかり入れる構成でやる予定です。フリーもいい練習を積んでこれてるので、その通りのものが出せるように集中してやっていきたいです。今日ミスが出てしまって、かなり出遅れるスタートになると思うんですけども、明日自分がやるべきことをすべて出し切りたいなと思います。
―― 終わったときの率直な感情は?
山本 もしトウループを失敗しても、サルコウ+トウに行くっていう練習は何回かあったので、思い切っていったんですけど、セカンドがダブルになってしまった。3回転+3回転と同じような点数になってしまうと思いますし、トウループもステップアウトで少し点数が伸びきらなかったですし、(プログラム)コンポーネンツも少し伸びきらなかった。本当に練習はしてきたので、その通りのものを出し切りたかった。やってきたからこそ、悔しい思いがあります。
―― 2本目のジャンプのときに声をかけた先生はどなたですか。
山本 本郷(裕子)先生の声が聞こえました。
―― 昨日の夜から今日にかけてはどんな過ごし方をしてきたのか、そしてフリーに向けてどんな過ごし方をしていきたいか教えてください。
山本 あまり考えすぎず、無理に頑張るっていうよりは、いい練習は積めてこれたので、本当にいつも通りやろうと思っていたんですけれども、今日それを出しきれなかった悔しさがある。明日しっかり切り替えるというか、練習してきたことを出し切りたいっていう、本当にただそれだけの気持ちです。



