国立代々木競技場第一体育館で明日12月19日から競技がスタートする全日本選手権2025。12月18日、前日練習に参加した選手たちが練習後に取材に応じ、大会への意気込みをコメントしました。男子の最初のグループで練習した選手たちのコメントと写真を2記事に分けてお届けします。続いて三浦佳生選手(オリエンタルバイオ/明治大学)、友野一希選手(第一住建グループ)、山本草太選手(MIXI)です。
三浦佳生「リミッターを外した状態で練習を続けてこれた」(SP29番滑走)
―― 公式練習を終えていかがですか。
三浦 自分の調子はもちろんよかったですけど、周りのみんなバンバン4回転やってて、すごく楽しい練習したなって感じでした。
―― 周りの雰囲気はやっぱりちょっと違うなという感じはしましたか。
三浦 そうですね、全日本なんで、みんな仕上げてくるのはもちろん当たり前のことだし。そのうえで、自分も試合を楽しめてる、いい感じで、いい雰囲気で来れてるなっていうのと、今日も周りのおかげもあって、すごくいい練習ができたかなっていうふうに思います。
―― ここまでいい積み上げができてきてる?
三浦 まずは、左足の去年やったケガを治して、もうリミッターを解除した状態で練習を、スケートカナダが終わってからずっと続けてこれてるのが、大きいかなというふうには思いますし。もう本当に、これこそ、自分の万全の状態っていうところには持っていけてるなっていう感じはします。
―― ジャンプの構成はいまどう考えていますか。
三浦 ショート、いつも通りで、フリーはループ入れて4つという、カナダとかでやってきた構成と同じでやろうかなというふうに思ってます。
―― 勝負のオリンピックをかけた全日本が始まりますが、意気込みをお願いします。
三浦 あまり考えずに行きたいですし、いま実際自分も全然考えずに、全日本っていうよりただ1つの試合というふうにしか捉えてないので。この試合はこの試合で、自分がやってきたことを試合で出す、出せるように、ひたすら。明日の朝の練習を頑張って、いつも通りを出したいなと思います。
――これまでの全日本と違う心持ちはありますか?
三浦 やっぱりメンタルトレーニングを行ってからは、この”ご機嫌”の状態と”不機嫌”の状態のバランスっていうものが、だいぶ変わってきてるんですよね。練習の時に、不機嫌95%、ご機嫌5%みたいな状態から、だいぶ不機嫌が顔出さなくなってきてるのはいいことかなというふうに思いますし。今日も最初のループ、氷に馴染まずに、なかなか締まらずやってたんですけど、やっぱご機嫌な状態だったので、最後ループ、いい感覚で終われましたし。実際他のジャンプも調子良かったですし、このご機嫌を保って、試合まで運んでいければ、自分はできるかなと思います。
―― 連盟から出ている選考対象選手を見た上での自分の立ち位置をどのように見ていますか。
三浦 結局、全日本か……っていう感じ的には思いましたね。誰かが飛び抜けて3枠目をリードしてるとかでもないし、もう本当に全日本で結果を出す以外ないのかなっていう感じではありますね。
―― 調子がいいなかで崩れるっていうような試合もいくつか経験をしてきたっていうことが、自分にとっていまプラスになっているのは、どんな部分ですか。
三浦 例えば氷の上で、練習で調子良くても、他の理由があって、いろいろ本番は失敗しちゃうっていうことがあるし。例えばぼくだったら、(グランプリ)フランスの時なんかは、自分の中で不安だったり、そういった感情が試合前に突然出てきて、過去のこともフラッシュバックしてきて。しかもシーズンうまくいってなかった中での試合っていうところで、自分が思っていないように思うけど、実際は考えちゃってるっていう部分があったから、メンタルトレーニングをそのあとつけてやったりして。自分の場合はそういった原因があったので、そこは、なんか経験して良かったなっていうふうには思いますし。実際この全日本も、自分のなかの、勝ちたいだとか、順位だったり点数の目標っていうものもない。だからこそ、気持ちよく伸び伸び滑れているのかなっていう感じがありますね。
―― リミッターを解除する前と後で、練習量だったり、ジャンプを跳ぶ回数はどのように変化しましたか。
三浦 トウループの本数を制限していて。実際、痛くないんですけど、肉離れの跡が固くなってて。それが板みたいになってて、ここに板入ってますみたいな感じなんで、カチンってなって、だんだん足動かなくなってくるんですよね。それがあったので、それをやっていくとだんだん肉離れに近づいていってしまう、再発に近づいていってしまうところで、あんまり回数跳べてなかったんですけど。スケートカナダ終わってからはもう完治ってことで、もうバンバンにやって、いつも通りの、過去の自分と同じような練習をしているので、だいぶ戻ってきたというか。トウループの状態が良くなって良かったなというふうに思います。
友野一希「自分のやってきたスケートをこのリンクに刻み込みたい」(SP25番滑走)
―― 公式練習を終えていかがですか。
友野 体もふわふわしてたというか、緊張もあって、いい雰囲気のなか滑らせてもらえてるなと思いながら。楽しくというか、あの雰囲気をすごい噛みしめて練習できたし。すごいみんな、なんて言ったらいいんやろな……なんで今かわかんないんですけど、昔やっぱ最終グループ見てて、かっこいいなって思ってたのが……全然何回も(最終グループで)やってるはずなんですけど、自分もここに立ってるんだなっていう気持ちになれて、みんなかっこよく見えて、自分はすごいなんかエモかったです。
―― グランプリシリーズの悔しさからここまでというのはどのようにご自身に生きてますか。
友野 本当にいまは、すごくとにかく全日本に向けて、本当全部やってきて、1日も後悔した日がないというか。やっぱもう全部やってきたので、ここまで充実した日々を過ごしたこともなかったし。いまになってすごく試合が楽しみですし、いろいろ背負うものがあったりとか、目標もあったりすると思うんですけど、最後はこうやってきたことをすべて見せるっていう気持ちで、自分のために、自分のスケートを出せたらいいかなと思ってます。
―― オリンピックへの思いも聞かせてください。
友野 誰よりも強い気持ちを持ってやってきたと思ってますし、それだけの練習もしてきたし。今回、滑っていても、自分がいちばんやってきたなっていう自信を持ちながら練習できたので。それだけの自信を持って、練習の期間は、やっぱり獲りに来たので。でもいま、さっぱりした気持ちと言いますか、しっかり落ち着いて、先ほども言ったように、自分のために最後は滑れたらなというふうに思ってます。
―― 改めて意気込みと目標をお願いします。
友野 いやもう、すべて出す。自分を表現しきれたらいいかな。ジャンプとかもちろんありますけど、自分のやってきたスケート、生き様っていうのを刻んで……このリンクに刻み込みたいなっていうふうに思います。
―― スケートアメリカから切り替えていくなかでもらったアドバイスとか、響いた言葉は?
友野 正直、練習1日目とか、帰ってもなかなか気持ちが、初めてぐらいの経験で落ち込みはしたんですけど。平池(大人)先生の方から、お久しぶりに喝を入れていただいて。初めてぐらいじゃないかなっていうぐらい、けっこう30分から1時間ぐらい、言い合いみたいなのしたんですけど。でもそれですごい自分の中で、こう気持ちもすっきりして、もうその日から切り替えて、やれたので。本当グランプリ終わって初日から、全部やれることをやれたので、そのスイッチを先生が入れてくださったので、それがいちばん、自分のなかでいちばん大きかったなといま振り返って思います。
―― 言い合いするなかで、いちばん心に残った言葉とか、友野さんから言った言葉ってありますか。
友野 ただただ、「悔しないんか」とか、「気持ちが弱いからや」みたいに言われたんですけど、ぼくは詳細を話し合いたくて。気持ちで片付けられたのにすっごいイラっとして。タイプがけっこう全く違うんで、ぼくはけっこうしっかり考えてやるタイプで、先生はパッション系というか。(笑)ぼくはけっこう言葉攻めじゃないですけど、論破しにかかるタイプ。(笑)たぶん先生は練習に対するその気持ちをたぶん……何て言ったらいいんですかね……話したかっただけなんですけど、僕は内容を話したくて、みたいなので、全然30分間、中身的には何もなかったんですけど。先生は「悔しくないんか」って言って、自分は「悔しいよ」って言いながら。うーん……何言ったかな。でも自分は本当にイラっとして、自分に対して向いてたその負の感情っていうのが、先生に向いた途端に練習できるようになったんで、逆に先生に……怒りの的になってくれたじゃないですけど、すごいあんまり感情的になって全部吐き出すっていう経験もなかったので。いままで生きてきてもなかなかなかったから、本当にやっぱりそういう苦しい時とか、悲しい時って出した方がいいんだなっていうのは、すごいその時、学べたし。先生は、自分がいつも丸めこもうとするんで、それが多分気に入らなかったと思うんですけど。それを出たのが良かったし、先生も「全部つけてこい!」みたいに言ってたんですけど、青春漫画みたいで嫌やなって思いながら。(笑)言いたいこと全部言えて良かったです。
山本草太「諦めるつもりはない」(SP22番滑走)
―― 公式練習を終えていかがですか。
山本 この全日本まで、やってきた練習と同じような練習をやったと思いますし。また明日から始まるんですけど、練習は1日1日本当にいい練習を積み重ねてこれたので、練習と同じことをやるだけという気持ちで、いつも通りやれたらなと思います。
―― 体の方でのコンディションはいかがですか。
山本 もうばっちりで。シーズン中はちょっとケガなどもあったんですけれども、この全日本には間に合わすことができましたし、本当に全日本までいい練習は積み重ねてこれたので、あとは自分を信じて、すべて出し切れたらなと思います。
―― 改めてオリンピックへの思いを聞かせてください。
山本 ケガなどもあり、出遅れた立場っていうことではあるとは思うんですけれども。でも、この全日本まで、本当にいい練習を積み重ねてこれたので、(オリンピック出場を)目標にして、諦めるつもりはないですし、難しい状況なのは分かってるんですけども、まずは自分がやってきたことをこの舞台で出し切りたいなっていうふうには思っているので。あまりあれこれ考えず、本当にやってきたことをそのまま出せたらなと思います。
―― このオリンピックをかけた全日本での目標を教えてください。
山本 オリンピックが目標だとか、いろんな目標があるんですけれども。本当に自分がやってきたことをすべて出し切りたいなっていうふうには……繰り返しにはなってしまうんですけども、本当に練習通りのものが出せたらいいなっていうふうに思っているので、もうやるだけかなと思ってます。
―― GPフィンランド大会でフリーの構成を落としていましたが、今回はその前の構成に戻す?
山本 もうサルコウもいい感じで、フリーの方も、ショートの方も、まんべんなくしっかりと練習することができてきたので。フィンランドの前もサルクは悪くなかったんですけども、現地に入ってから調子がまだ安定してないっていうことがあったので。しっかりと自分の現状に満足せず、しっかりとより良くするための練習っていうものを取り組んできましたし。(コンディションが)いいなかでも、想定外のことが起きることがこの全日本だと思っているので。自分の今の状況に満足せず、本当にやれることはやってきたので、それが出るだけだと思うので、しっかりと自分を信じて出し切りたいなと思っています。
―― 全日本ってこういう場所だったなって、改めて心によぎったようなことはありましたか。
山本 過去、やはり自分はけっこう失敗のことが多くて、いい思い出っていうのはこの全日本少ないんですけれども。そういった舞台っていうことは、ここに来る前にしっかりと自分に言い聞かせながら、練習は積み重ねてきました。難しい状況でも、もし失敗があったとしても、その後しっかり立て直すっていう練習だったりとか、もちろんノーミスを目指すっていう練習、始まりはそうなんですけども、もし1つ失敗しても、その後しっかりと切り替えるっていう練習もやってきましたし、スピンだったりとか、まんべんなく練習してきましたし。ジャンプも、安定感は練習のなかではもう良くなってきているので。あとはそれがどこまで出るかなっていうふうには思っています。



