2025年4月1日
VTRでサプライズ! 星野源さんが大好きな曲で最高の滑りを

羽生結弦が魅せた驚異のパフォーマンス おげんさんへ捧げる「Danny Boy」特別版 

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羽生結弦さんが、3月27日に生放送された星野源さんの冠音楽番組「おげんさんといっしょ」(NHK総合)の最終回にVTRでサプライズ出演、驚異的なパフォーマンスを披露しました。曲は星野源さんが大好きな「Danny Boy」です。

おげんさんに捧げる至高のプログラム

「おげんさんといっしょ」は、意表を突くキャラ設定だらけのおげんさん(星野源)ファミリーがハイクオリティーの音楽を奏でる異色の人気音楽番組。NHK公式サイトの番組紹介には、「2017年の放送開始から8年、伝説の番組の最終回に何が起こるのか?」と書かれていた。

最終回の放送が後半に差し掛かるころ、羽生結弦がVTRに登場。「お姉ちゃーん、久しぶり。弟のゆづでございます」と星野に向けて手を振りながらあいさつし、「お姉ちゃんがサブスク堂で教えてくれた、大好きな大好きな曲『Danny Boy』をお姉ちゃんにプレゼントします」と語りかけた。「お姉ちゃんが教えてくれて、この曲で滑るようになりました。そしてこのプログラムは本当に本当にぼくにとって、大切なプログラムです。ぜひ見てね!」

2023年8月、羽生は番組内のコーナーから生まれたスピンオフ番組「おげんさんのサブスク堂」におげんさんの“弟”のゆづとして登場。その際に、星野が「人生の1曲」として挙げ、「ぜひ、滑ってほしい」と羽生に伝えたのが、キース・ジャレットの演奏するピアノバージョンの「Danny Boy」だった。2024年3月、東日本大震災の被災地・宮城から“希望”を発信するアイスショー「羽生結弦notte stellata」で、羽生は「もっと希望を届けたい」という思いを込め、「Danny Boy」を世界初演した。

以来、アイスショーで度々披露し、絶賛されてきたプログラムだが、この日、番組内で放送されたのは、これまで見たことのない「Danny Boy」だった――。

静謐なエレガンスに満ちて

キース・ジャレットの奏でるピアノのせつない調べが流れだし、純白のエアリーなコスチュームに身を包んだ羽生は祈るように胸の前で合わせていた両手をゆっくり開き、すーっと前へと滑りでた。すると冒頭のジャンプで羽生は、いつもの3回転トウループでなく、イーグルから振り返りざま、そのままく跳びあがり、トリプルアクセルをあざやかに決めてみせた。その美しさに息をのむ。

さらに、驚きは続く。レイバックのイナバウアーからゆっくり身体を起こしスリーターンで後ろを向くと、またしても助走なしでふわっと舞い上がり、4回転トウループを跳んだのだ。

高難度のジャンプを跳ぶためには、助走のスピードを高さと回転運動に変換する必要がある。だが、トリプルアクセルと4回転ジャンプは助走なしで跳べるものなのか?と錯覚してしまうほど、少しのよどみもためらいもなくシャープに宙を舞うジャンプ。進化版「Danny Boy」がそこにあった。つねに、最高を追求する羽生の演技は、見るたび想像を超えてくるが、この静謐な演技はまた別格だった。無駄なものが一切排されたシームレスなスケーティングは、メロディーと戯れながら、すべての音符、休符を拾い、全身で音楽を奏でていく。フィギュアスケーターの身体は、繊細に調律された楽器なのだと強く思わせられた。あまりにも神々しい2分40秒。

「おげんさんといっしょ」が最終回を迎えることが発表された直後、羽生は、星野に「寂しいです」と連絡した。今回の演技映像は、放送日の2日前に撮影。羽生は、自らすべて段取りをして、撮影に臨み、映像編集も自ら手掛けたという。まったく知らされていなかった星野は、演技を見終えると、感極まった表情で「ありがとう、ゆづ。素晴らしい」と感謝を伝えた。

フィギュアスケートは音楽とともにある――。音楽をこよなく愛する羽生が、フィギュアスケートという表現手段を駆使して、創り出し、演じた進化版「Danny Boy」は、おげんさんとおげんさんファミリー、スタッフへのサプライズプレゼントとして確かに届けられ、同時に、視聴した人々の心にも深い感動を届けた。今回の羽生のパフォーマンスは、フィギュアスケートの尽きることのない魅力をあらためて感じさせてくれるものだった。

画像提供©YUZURU HANYU

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