学びの多いシーズンを走り抜けた友野一希選手(第一住建グループ)。インタビューの2回目は、選手としてのキャリアを重ねてきたなかで変わってきたもの、決して変わらないもの、大切にしている考え方について伺いました。オリンピックという目標へ向けて走り出した友野選手の強い覚悟、そして競技の場以外でも自ら行動し戦ってきた日々のこと、抱えている内面のコンプレックス。それらがあるからこそ、友野選手のいまがあると感じさせられるお話ばかりです。
インタビュー第2回の後半部分は、有料記事としてお届けしています。ご購読いただいた場合は、次回お届けする第3回の記事も併せてお読みいただけます。第3回では、昨年8月に開催したイベント「友野一希トークイベント TOMONO Party Party-銀座編-」のトーク部分より、ファンの方々からのさまざまな質問への友野選手のアンサーをレポートします。イベント当日限りの内容でしたが、ご本人の許可を得ての記事化が実現しました。
第1回:INTERVIEW友野一希①「自分への理解度が上がった」
第3回:INTERVIEW 友野一希③「銀座で語った!トークイベント再録」
冷静と情熱をバランスしながら
―― 「集大成」「ラストシーズンになるかもしれない」といった発言も聞こえてくるようになりました。怪我についてもそうですが、友野選手はとても率直で、状況を隠さないですよね。そういう自然体であることは、ときとして無防備な怖さを感じる局面もあるのではないかと思うのですが、ご自分の状況をメディアやファンの方々に伝えるスタンスは、いまどんなふうに考えていますか。
「ぼくはメディアを通して自分と対話している感じがあって、自分の気持ちに気づけるのがインタビューだったりする。もちろん言わんとこ、気をつけよ、ってことはあったりしますけど、あまり隠さずに言うこと、自分の気持ちを素直に出すことによって、それが自分へのいいプレッシャーになると考えています。ぼくは強くはないので、そういうふうにやることで今までも頑張ってきた。自分に語りかけている感じがあるのかな。強いときはいいインタビューをしているし、迷っているときはそれなりのインタビューをしている。そういうのを振り返って面白かったりするので、全部隠さずに言っちゃう。自分の生き方的に、あんまり偽ることができない。飾ったりするのは結構苦手だし、嘘とかすぐばれるし。(笑)」
―― 第1回でもお話がありましたが、大きな目標に向かっていくときに、無駄を削ぎ落して研ぎ澄まされていくという方向のなかで、同時に情熱を育てていくというのは、やはりすごく相反する部分もあるのかなと思うのですが。
「そうですね。難しい。“気持ち”は持っていたいんですよ。その気持ちを持つことは、ぼくはダメだと思っていない。でも、やっている最中、練習中とかには持ち込まないようにしています。モチベーションとしては気持ちを持ち続けるけど、行動としては気持ちを持ちすぎない。自分のコントロールできる範囲を超えてしまうと、怪我につながったり、次の日の練習に影響したりすることがあります。やることはコツコツ冷静にやっていくんですけど、エネルギー源としての本当に小さな灯が自分の気持ちなんだとイメージして、頑張っていきたいかなと思っていますね。あと、今までも思ってましたけど、気持ちだけって限度があって、もう勝手にスケジュールを組んでしまえばやるしかないので、それをこなすことで気持ちが後から勝手についてくることもある。まずは最初に行動に移すこと。お互いダメなときに補い合うじゃないですけど、どっちかが先行しないようにしていきたいなということはすごくあります」
―― アスリートとしての完成形に近づいている印象を受けます。