ミラノ・コルティナ・オリンピックの個人戦男子フリーで、三浦佳生選手(オリエンタルバイオ/明治大学)が13位となりました。SP22位でフリーに進出した三浦選手は、第1グループ3番目の滑走に。靴の問題を抱えながらも、4ループをはじめ、果敢に演技を滑り切りました。氷上での姿と、演技後のコメントをお伝えします。
靴の問題を乗り越えて4ループほかを着氷
ぎりぎりの戦いのなかで、三浦佳生はやり抜いた。SPの2日前にスケート靴が破損。側面を支える部分が劣化し、片側だけに偏って足首が曲がる形となり、うまくブレードに力を伝えることができなくなった。そんな状況のなかでも、チームジャパンの用具の調整でも尽力した日下匡力コーチの協力のもとで補強や調整の対応を行いながら、三浦は4回転ジャンプに勇気をもって挑んでいった。
その勇気はフリー本番のパフォーマンスでも全面的に三浦を支えた。予定通りの構成を念頭に、冒頭の4ループで勢いよく飛び立っていき、がっちりと着氷。次の4サルコウで転倒したが、引きずることはなく、4トウ+3トウ、4トウ、3アクセル+1オイラー+3フリップと、着氷には乱れが出つつも、リズムにのって果敢に跳んでいく。最後まで力が途切れることなく、集中力をもってすべてのジャンプを降りてみせた。滑り終え、両方の拳を握るガッツポーズ。

演技を終えた三浦を迎えた佐藤紀子コーチの目には涙が光っていた。得点は170.11点、合計246.88点。得点が出た瞬間、三浦は納得がいかなそうな表情で何度か首を振った。それだけフリーの演技に充実感を感じていたのだろう。だが試合全体が終わってみれば、22位から9つも順位を上げる総合13位でのフィニッシュ。4年に1度の舞台というプレッシャーのなかで、焦りや苦しさを感じながらも、逆境に負けず自分自身との戦いを闘い抜いた経験が、今後の三浦佳生をさらに大きく成長させることだろう。
演技後コメント「今日は非常によく滑れていた」
―― 今日の演技を振り返って。最初のループについては。
三浦 今日に入ってから、自信がありました。日下先生に昨日少しブレードを落としてもらったんですけど、それがもう復調の要因となった。なかなか体が思うように動かないのはなんでだろうと思って、エッジがちょっと強いかなと、そこを落としたのが正解だったかなと思うので、そういう点で、ループはもう今日の朝からしっかりできてたんで、不安はなかったですね。
―― ポジションにつくときに手を合わせていましたが、靴にもってくれみたいな感じで?
三浦 いや、もうどっちかというともう、とりあえずまず4分、自分を見せようって思って、そこはしっかり気合いを入れ直す1回って感じでやりました。
―― 得点が出たときはちょっと首をかしげていました。
三浦 そうですね。もうちょっと……もうちょっと! 出てもよかったんじゃないのかなっていうのは、正直。特に大きなミスはないし、ベースの点は稼げてるのに、なんで四大陸を超えられなかったんだろうっていうのは、ちょっと1個あるし、特にPCSはもう、78点っていうのは、ぼくはわりとひどい演技した時ぐらいのPCSなので、ちょっとひどいなって。正直、正直ですよ、あくまでもぼくの意見としてですけど。まあ正直ちょっと、第1グループだからっていうのはあるかもしれないけど、にしても、ちょっととは思いました。
―― 靴の状態としては、今日はテープを巻いてなかったですが、どういった感じですか?
三浦 昨日巻いてたのは、少しでもその状態を長くキープするため、これ以上折らないためにやってたので、あらかじめ外してやるっていうのは、想定してやっていました。で、折れてる感覚はもちろんないわけじゃないんですけど、とてもできない状態ではなかったので、ほかに多分跳べない原因があるなと思ってたので、そこは別に、あんま気にしなかったっていうのが正直なところ。ぼくとしては。靴の破損みたいな部分はあんま気にしなかったです。
―― 持ち味のスピード感を最後までできたこと、貫き通せたことはどうですか。
三浦 そうですね、今日は非常によく滑れてたと思いますし、最後まで落ち着いて、1点を多くもぎ取るっていうことができたので、オリンピックの経験としてもいい経験で終わることができたなと思いますし、4年後、しっかりメダルを獲れる選手になって帰ることが、自分の役割というか、今回経験させてもらった上でのやるべきことかなと思うので。その後は優真と駿がしっかり結果を残せることを祈ってぼくは応援するだけだと思います。
―― フランスグランプリの時は、フリーもきつくて、大会全体として悔しい思い出があると思うんですけど、そこからの教訓とか、今回に繋がっている部分はありますか。
三浦 そうですね、フランスは特にやっぱりやる前からできないんじゃないかっていうマイナスな感情だったり、スタートポジションに立って曲が鳴った瞬間に、また始まるんだっていうちょっと憂鬱な感情というのもあったので、多分それも結果を残したいがゆえに、なかなか残せなかった部分が、あの時は、また始まったよっていうちょっと憂鬱な原因にはなってたと思う。今はわりと、あのときに比べて、練習から自信をもてるような練習ができているし、あのときも別に調子が悪かったわけではないんですけど、気持ちの面でやっぱり今のほうが楽に滑れてる部分があるので、そういうのが大きいかなと思う。失敗の部分も、もちろん、今季糧にしていきましたし、オリンピック、この舞台まで繋げてるのも、あの大会がひとつやっぱ大きかったと思うので、あのフランスがなければ、もちろんぼくはメンタルトレーニングにも参加しなかったと思うし、あの機会があって、今となってはよかったなというふうにすごく思ってます。
―― 今回のオリンピックの学びというか、何を得たなっていうのがありますか。
三浦 本当に、ひとつは、やっぱ4年に1回っていうところを意識しない、ひとつの大会として思うことが一番大事だなと思って、やっぱショートのときは、不安もあった中で、やっぱり4年に1回の舞台をぼくが背負って出てる以上、結果を残さなきゃいけないんだっていうふうにちょっと思っていた部分があったので、フリーはそれがなるべくなく、ラフな状態で望めたと思うので、それはよかったなと思います。
―― ショートが終わってからの2日間で、鍵山選手と佐藤選手のお2人と話したりとかは。
三浦 優真とは1回も会ってなかったんですけど、ショート終わってから。もう本当、練習も違うし、多分、優真的にも声がかけづらい状態だったのかなと思う。駿とはわりといる機会が多くて、駿は向こうから、ご飯食べに行こうとか、ゲームしようとか言ってたので。なんで、そこで一緒に過ごして、フリーで、ぼくもあれだけど、駿はまだメダルを獲得できるとぼくは思っているので。どうするかみたいな駿が悩んでるところに、ぼくは、あの~、4本とか……なんか詳しいことは避けますけど(笑)、そのくらいできれば(メダルも)あるよって。構成次第では、駿だって全然メダルは目指せると思うよっていう、元気づけ合いみたいな。向こうもまだできるってぼくに言ってくれましたし、元気づけ合いしてゲームしてみたいな、和気あいあいな時間があったかなと思います。
