2026年1月8日
史上最年少の13歳で全米選手権を制した天才少女が、世界女王としてオリンピック・シーズンの全米選手権へ!

INTERVIEW アリサ・リュウ「何があってもミラノに行きます」

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北京オリンピック後に電撃引退、昨シーズンに突如復帰してそのまま世界選手権を制し、世界女王としてオリンピック・シーズンを迎えたアリサ・リュウ選手。カップ・オブ・チャイナでグランプリシリーズで初のメダルを獲得し、地元のスケートアメリカでグランプリ初優勝、そして初出場したシニアのグランプリファイナルを優勝で飾りました。結果にとらわれることなく、自身の演技を楽しみながら第2のキャリアを築く彼女が次に迎えるのは、全米選手権。シニア女子は7日のショートプログラムから始まります。

グランプリファイナルは最高の経験でした

―― グランプリファイナル優勝おめでとうございます。
アリサ ありがとうございます。いい演技ができたと思います。お客さんの反応も、すごく応援してもらえていると感じられてうれしかったです。とくにフリーはアップビートの音楽なので、最初から歓声が聞こえてきてすごかった。めちゃくちゃ大きい声援が聞こえてきて、最高の経験でした。

―― 結果は気にしないといつもお話しされていますが、世界選手権に続く2つ目のビッグタイトルに喜びはありますか。
アリサ そこはやっぱり気にならないかな。もちろんとても光栄には思います。これまでに素晴らしいスケーターたちが手にしてきたタイトルを獲ることができるなんて本当にクールなこと。でも同時に、私はパフォーマンス重視だから、たとえ試合に勝てたとしても演技が残念だったらハッピーには思えないし、逆に試合には勝てなかったとしても滑りが素晴らしいものであれば大喜びしちゃうと思います。

昨季から継続して使用するSP「Promise」©Yazuka Wada

―― グランプリシリーズ3戦で6つの演技をして、そのどれもがほとんどミスのない素晴らしい演技ばかりでした。
アリサ ありがとう~!

―― この安定感はどこから来ているのでしょうか。
アリサ 練習、かな。量をたくさんこなしているわけではないけど、練習しているときはとにかく一生懸命やっているし、ハイパー集中して練習しています。私にとっては自然なことだし、そうするのが好きでもあるから、集中して練習することは苦にならないんです。プログラムはほぼ毎日通しで練習しています。週に5回練習があって、そのうち2日は半日練習。フルタイムのときは、1日中プログラムをかけっぱなし、セッション間も休憩なしで続けているのでかなりハードです。ジャンプに関しては普段の練習で転ぶことがあまりないので、試合でも転ばないのかなって。自然な感覚で跳び上がって降りるって感じで、思春期のころよりはバランスがよくなっていると思います。いまはもう、体は成長し切ったからね。

―― 自身のメンタリティが助けになっている部分はある?
アリサ そりゃあもう、「この演技をやり遂げたい!」「やっちゃえ~!」って感じで。(笑)

―― ほとんどの選手は緊張やプレッシャーに対処しないといけないと思うのですが、あなたはとても自由に見えます。
アリサ 持っているゴールによるものだと思います。私が人生で叶えたいのは、ただ自分のクリエイションを世に出すこと。アイディアはいっぱいあるんだけど、フィギュアスケートはそのアイディアを実現できる場所の1つです。もちろんもっと他にも表現できるようになっていきたいとも思っているけど、いまはこれが私にある表現手段で、ここにいられるだけで幸せを感じられています。だから、自由なんじゃないかな。

―― 今回のジュニアグランプリファイナルでは、女子の6選手全員がトリプルアクセルに挑戦しました。
アリサ ジュニアで!?

―― はい。メダリスト会見でトリプルアクセルはリスクのある難しいジャンプだと話していましたが、果敢に挑んだジュニア選手たちをどう思いますか。
アリサ オーマイガー! すっごーい! 最っ高。彼女たちが好きで挑戦するなら、私は反対しないな。筋肉がしっかりついていれば、だけど。私がジュニアのころは、かなりジムで鍛えなきゃいけなかったんだけど、私はあまり行かないで、よく怪我をしていました。とにかく、体を健康に保つことが大事だから、筋肉を鍛えて、練習後にはストレッチを忘れずにね。

インタビュー中も表情豊か ©Yazuka Wada

―― 大人になってからのほうがトリプルアクセルは難しいと感じますか。
アリサ これはノー。年齢が上がるにつれてトリプルアクセルもよくなってきていると思います。筋肉もしっかりしてきて、考えも巡るようになったから、以前よりリスクを理解できるし、ストレッチや練習の必要性もわかるようになりました。トリプルアクセルの衝撃はかなりのものだから、それに耐えられるようにちゃんと筋肉をつけなきゃいけないんです。

―― ジュニア選手たちは成長期なので、体の変化に合わせていかないといけないと思いますが、そこへのアドバイスは何かありますか。
アリサ 私から言えるのは、ジャンプに固執しすぎないでってこと。思春期に入ると、成長によってバランスが変わっちゃって、どうしてもジャンプが荒れちゃう時期もあると思う。それは知っておいてほしい。私も、以前のキャリアの最後の2年はバランスを失ってしまっていたんだけど、でも私の場合、思春期が終わる前に辞めちゃったんだよね。だから、そこについてはあんまり言えることがないというか……思春期をちゃんと戦い抜いた選手に聞くのがいいと思うな。(笑)

できないことに挑戦するのが楽しい

―― 次は全米選手権です。オリンピック代表選考もかかっていると思いますが、そのことについては考えていますか。
アリサ オリンピックのことは、考えます。でもいま考えすぎるのはつまらない考えなのかなって。今日も明日もやらなきゃいけないことだらけなので、そんなに考える時間もないし、あまり先のことを考えるのは好きなじゃないんです。

―― 全米選手権では、新しいフリーをデビューさせるとのことですが、今季はすでに一度レディ・ガガのプログラムから昨季の「マッカーサー・パーク組曲」に変更していますよね。今季のプログラム変更について教えてください。
アリサ 最初のレディ・ガガのプログラムは制作段階がかなり急ぎだったんです。初戦の1週間前にまだ音楽を決めあぐねていました。ミックスがうまくいかなくて、曲を聴いてみるとどうしても違和感があったりして、なかなか気に入る音楽が見つからなかったんです。かといって他の候補があったわけでもなくて。最後まで気に入る音楽はできなかったんだけど、試合に出なきゃいけなかったので、仕方なくってことで最初のレディ・ガガのプログラムで出ました。内心ではまあいいかと思っていたんだけど、帰って映像を見返したらもう最悪で。残りのシーズンをこのプログラムで戦うなんて考えられないと思った。ただ、プログラムを作り直しているあいだにも試合でフリーを滑らないといけない、でも直す前のはやりたくないと思ったときに、「マッカーサー・パーク」がある、そっちをやればいいんだって。大好きなプログラムでもあるし、いままた滑ってみると学びも多いんです。そんなこんなで、これが変更の裏側です。それで、ようやくガガのプログラムがちゃんと完成しました。前のとは全然違うんですよ。クラシック音楽というかオーケストラの楽曲を組み込んでいてお気に入りなんです。すごくいい感じになると思うな。イタリア出身のDJにミックスを手伝ってもらって、すごくうまくいきました。

―― イタリアでのオリンピックシーズンにイタリアの楽曲を選ぶ選手は多いですよね。
アリサ こっちはイタリアのDJにミックスしてもらってるから!

グランプリファイナルが競技会では最後の披露となったフリー「マッカーサー・パーク組曲」 ©Yazuka Wada

―― 4年前の全米選手権はSP後に棄権してしまいました。
アリサ アンバーと一緒のロッカールームを使っていて、2人でコロナにかかっちゃいました。もうお互いかからないように、フルで全米選手権を戦えるようにしたいです。

―― 全米選手権での目標は?
アリサ まずはコロナにかからないこと。それからガガのプログラムを全力で演じてお披露目することです。あと、トリプルアクセルね! プログラム全体を通して練習して、ショートにも入れるかどうか考えていきたいと思います。

―― トリプルアクセルについては、コーチ陣からも技術的な指導があるのでしょうか。それともご自身の感覚で?
アリサ 反復練習と感覚で覚えたって感じです。あとはオフアイスのトレーニングを続けたことも大きかったと思うし、トレーナーさんのおかげです。とっても素晴らしい方なんです。私の身体の状態をよく把握してくれて、鍛えるべきところを的確にして最善を尽くしてくれています。

―― どうしてそんなにトリプルアクセルが好きなんですか。
アリサ 難しいから。いつでもできるわけじゃないからです。私にとっては、できることだけをやるのはつまらなくて、トリプルルッツもトリプルフリップも転ばないし、できることばかりじゃ楽しくない。私はできないことに挑戦するのが楽しいんです。

―― ジュニア時代はトリプルアクセルと4回転ジャンプを跳んでいましたよね。高難度ジャンプの戦いが注目されていましたが、ジャンプに視線が集まる状況をどう感じていましたか。
アリサ 注目されていたなんて知りませんでした。私は当時もいまもあまりオンラインにいないので、みんながなんて言ってるか全然知らないんです。そういうニュースとかも読まないので、私がプレッシャーを感じない理由はそこにあるのかもしれない。まじで全然見ないです。

―― ミラノ・コルティナ・オリンピックに向けては、いまどう考えていますか。
アリサ 前回はコロナ禍でのオリンピックだったので、そうでないオリンピックはさらにすごくて、さらに楽しいと聞いています。楽しいことも新しい経験も大好きだから、ぜひオリンピックチームに入りたいと思っています。でもね、もし代表に選ばれなかったとしても、どちらにしても私はイタリアにいると思います。家族がすでにチケットを買って、泊まるとこも抑えちゃっているもんだから、もし選手として行けなかったら、私も自分でチケットを買って家族と一緒に見に行かないといけないんです。

―― ミラノでお会いできるのを楽しみにしています。
アリサ 絶対会えますよ。怪我をしても何があってもミラノには行くと思うから。(笑)

東京での試合前は原宿でヘアカットしてから試合に臨み、今回は手羽先を楽しんで店員さんと仲良くなってから試合に臨んだ ©Yazuka Wada

―― さて、グランプリファイナルが終わりましたが、名古屋を楽しむ予定は立てていますか。
アリサ もう楽しんじゃってます! 名古屋に着いた初日から、友だちや家族へのクリスマスプレゼントの買い出しに行って、おいしいものもいっぱい食べて。味噌カツでしょ、手羽先に小倉トーストに一蘭にもまた行っちゃった。

―― 試合期間中に行っていたんですか?
アリサ そう! この4日間でけっこう楽しんじゃいました。最終日はバンケットがあっていけないから、毎日何かしら、お勧めしてもらった新しいものを食べに行っていました。(笑)味噌カツはもう1回行こうかなって。あと、手羽先のお店でドジャースファンの子たちと仲良くなったので、彼らに会いにまた行きたいなと思っています。

―― このあとのシーズンも楽しみにしています。本日はありがとうございました。
(2025年12月7日、グランプリファイナル女子フリー翌日の共同取材より)


アリサ・リュウ選手の過去のインタビューはこちらの号でお読みいただけます!
87号(2019年ジュニアグランプリファイナル)
89号(2020年世界ジュニア選手権)
95号(2022年世界選手権)
102号(2024年スケートカナダ)
103号(2025年世界選手権)
104号(2025年カップ・オブ・チャイナ)
フィギュアスケートシーズンガイド2021-2022/アイスショーの世界8/フィギュアスケート選手名鑑シーズンガイド2025-2026

プロフィール
Alysa Liu(ありさ・りゅう) 2005年8月8日、アメリカ・カリフォルニア州生まれ。ノービス時代の2019年に13歳で史上最年少の全米女王に輝き、ジュニア時代は2019年ジュニアグランプリファイナル2位、2020年全米選手権2連覇、世界ジュニア選手権3位。シニア1年目で2022年北京オリンピックに出場し6位、世界選手権で銅メダリストに輝いたあと、16歳で現役を一度退いた。2024年3月に電撃復帰を表明し、2024-2025シーズンは全米選手権2位、四大陸選手権4位、世界選手権優勝と、復帰シーズンで世界のトップまで駆け上がった。今季は、GP初優勝、シニアのGPF初出場初優勝。
= INFORMATION =
全米フィギュアスケート選手権
J SPORTS4での放送予定

1月8日(木)
7:30~ ペアSP(生中継)
10:25~ 女子SP(生中継)
17:00~ ペアSP(録画)
19:00~ 女子SP(録画)

1月9日(金)
7:00~ アイスダンスRD(生中継)
10:15~ 男子SP(生中継)
17:00~ アイスダンスRD(録画)
19:15~ 男子SP(録画)

1月10日(土)
7:30~ ペアFS&女子FS(生中継)
18:00~ ペアFS&女子FS(録画)

1月11日(日)
7:10~ アイスダンスFD&男子FS(生中継)
18:00~ アイスダンスFD&男子FS(録画)

1月12日(月)
4:00~ エキシビション(生中継)

1月13日(火)
11:00~ アイスダンスRD(録画)
13:15~ 男子SP(録画)

1月14日(水)
11:00~ ペアFS&女子FS(録画)

1月15日(木)
7:30~ アイスダンスFD&男子FS(録画)

1月16日(金)
10:00~ エキシビション(録画)
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