都立施設としては初となる通年型アイススケートリンク「東京辰巳アイスアリーナ」が9月6日にオープンし、開業記念イベントが行われました。フィギュアスケートからは、プロスケーターの荒川静香さん、高橋大輔さん、村元哉中さん、さらに、住吉りをん選手(オリエンタルバイオ/明治大学)、蛯原大弥選手(駒場学園高校)、髙木謠選手(太陽生命)、Jingu Ice Messengersが登場し、”水泳の聖地”から“氷の聖地”に生まれ変わったアリーナのオープンを祝福しました。
”かなだい”によるエキサイティングなダンスで開幕
午前10時半過ぎ、江東区立辰巳中学校吹奏楽部がリンクサイドで演奏開始。続いて、樋口新葉をはじめ、氷上スポーツのアスリートたちからのメッセージVTRが場内の2台の大型スクリーンに映し出された。そして11時。公募された約2000人の観客の期待感が高まると、いよいよオープニングセレモニーが開幕した。オープニングパフォーマンスを務めたのは、“かなだい”こと、村元哉中と高橋大輔。シェイリーン・ボーン⁼トゥロック振付の人気プログラム「Birds, Makeba」で、2人は真新しいリンクの上を強烈なオーラを放ちながら、切れのあるステップで縦横無尽に駆け抜けて会場を盛り上げた。続いて登場したのは、シンクロナイズドスケーティングの草分け、Jingu Ice Messengers。今回は18名の特別編成で、団体競技ならではのダイナミックな技で沸かせた。
オープニングセレモニーには、小池百合子東京都知事、大久保朋果江東区長、フィギュアスケートの荒川静香、高橋大輔、村元哉中、住吉りをん、アイスホッケーの関夏菜美、カーリングの市川美余、パラアイスホッケーの中村俊介、車いすカーリングの小川亜希、車いすカーリング・コーチの飯野明子が登壇した。
主催者を代表してあいさつに立った小池百合子東京都知事は「このアリーナが新たな氷上スポーツの聖地になることを心から期待しています。都民の皆様が身近に氷上スポーツを楽しめる場となり、辰巳の氷に慣れ親しんだ子どもたちから、世界のトップに立つ選手が育つことを心から祈っています」と期待を述べた。また荒川静香は、「このアイスアリーナがオープンしたことは、都民のみなさんにとって、とても大きく、そして氷上スポーツに携わるアスリートにとって大きな意味があると思います。じつはウィンタースポーツは非常に練習場所を確保するのが難しい競技でもあります。2026年のオリンピックに向かっていくアスリートのなかにも、東京でいま練習を頑張っているアスリートがたくさんいます。アスリートを応援しながら、より多くの方々がこのアイスアリーナでよりよい時間を過ごしていただけることを願っています」と語った。
エキシビションに住吉りをん、蛯原大弥、髙木謠が出演
開業記念イベントの一環として、メインリンクでは、正午から「スケートエキシビション」が行われ、住吉りをん、蛯原大弥、髙木謠が演技を披露した。
まず最初に氷上に現れた髙木謠は、ブルーの衣装で今季のショートプログラム「As Long As You’re There」を滑った。髙木は「SPはあまりやったことのない曲調で難しいんですけれども、バレエの先生やスケートのコーチと一緒に練習して、もっと自分の感情を出せるように滑りたい。たくさんのお客様がいらして、すごくパワーをもらえました。(全日本ジュニアが開催される)このリンクでいい結果を残したい。一番は楽しむこと、そしてお客さんを楽しませるように一生懸命がんばりたい」と語った。
蛯原大弥は、今季のショートプログラム「仮面舞踏会」を披露した。新しいリンクの誕生について、「ぼくはもともと(高田馬場の)シチズンクラブの出身で、4年前にリンクが閉鎖してしまってからは、神宮に移籍して練習しています。東京都に新しいスケート場が出来て、練習環境が良くなるのはとてもうれしい」と実感をこめて話した。
「立派なリンクができて、都民として誇らしいです」と話した住吉りをんは、出来立てのエキシビションナンバーを初披露した。「昨季はかわいらしい雰囲気だったので、今年はちょっとお洒落なイメージで、佐藤紀子先生に『素敵なあなた』を振付けていただきました。GPシリーズで使用する予定なので、今後披露する機会には、楽しく大人っぽく踊れたらと思います」と話した。
3人の演技が終わると、日本スケート連盟が今年から取り組んでいる「ポケモンスケートチャレンジ~めざせトリプルアクセル~」のPRのため、氷上に登場したピカチュウが、3人と並んで観客たちに顔見世した。ピカチュウと“共演”した3人は、「フィギュアスケートの競技人口はまだまだ少ないなかで、小さな子どもたちが、ピカチュウなどポケモンを通して、氷の上のスポーツに興味をもってくれて競技人口のすそ野がもっと広がっていくのではないかとすごく楽しみ」(住吉)、「ぼくも昔からポケモンが好きなので、子どもたちがすこしでもスケートに興味をもってくれたら」(蛯原)、「一緒に滑ることって、なかなかないので、共演できてすごくうれしい」(髙木)と目を輝かせた。
オリンピアン3人によるトークショー
「スケートエキシビション」に続いて、スペシャルゲストの荒川静香、高橋大輔、村元哉中による「トークセッション」が氷上で行われた。アリーナの印象について、荒川は「天井も高くて解放感がある。これだけ大きな空間のなかでスケートに親しめるというのが非常にいいなと思います。これが日常の空間にあるっていいですよね」とコメント。高橋も「先ほど滑らせていただいたんですけど、解放感があって、めちゃくちゃ楽しかったです」、村元も「とても気持ちよく滑らせていただきました。素敵な空間だなと思います」と初すべりの感想を語った。
「フィギュアスケートを通して得た学びや大切にしていることは?」という質問に荒川は、「フィギュアスケートは技が多い競技でもあり、その1つ1つが難しくて、なかなか習得できないところに私は逆に魅力を感じて、探求心と好奇心とで続いていきました。挫折もたくさんあって、乗り越えられるかは全然わからないなか、向かっているところで、あきらめずに“この先の景色が見たい”というその一瞬のため、難しい高いものに挑んでいったことが、人生のなかでも役に立ってきたのかなと思う場面もたくさんあります」と話した。村元も「フィギュアスケートを通して、いろんなことに挑戦することとか、心の中から湧いてくる探求心を自ら探して感じて、成長していったと私も感じました」と大きくうなずいた。いっぽう高橋は「長く続けていると、学びしかないんですけど、どのスポーツを見ても、会場を独り占めできる競技スポーツってない。個人競技ではあれど、体操はいろいろなところでやっていたりするから、フィギュアスケートのように1人を全員が集中して見るというのは本当にない。そういうところで何があっても自分でやり遂げなければいけないという精神力の強さは培われてきたのかな。すごく特別なスポーツなんだなと感じます」と話した。
また、次代を担うアスリートや子どもたちに向けて、3人がメッセージを述べた。荒川は「ここで多くの人がスケートと触れ合って夢を見つけたり、毎日の目標とか生きがいを見つけられる場所になるといいなと思っています」と呼びかけ、高橋は「近くにいらっしゃる方はすごく馴染みのあるスポーツになっていただきたいなと思いますし、スケートはすごく日本は強いので、どんどんここから強いアスリートが生まれてくることを願っております」、村元は「たくさんのスケーターたちが世界に羽ばたく場所になってほしい。たくさん挑戦して失敗して、いろんな壁を乗り越えていってほしいなと思います」と期待を込めた。
スケート体験会にピカチュウも登場
午後はメインリンクでスケート体験会、アイスホッケーやパラアイスホッケー体験会、サブリンクでカーリングや車いすカーリングのデモンストレーションや体験会などさまざまなイベントが実施された。メインリンクの周囲には、アイススケート、アイスホッケー、カーリングなどのPRブースが並び、訪れた観客たちは氷上競技との出会いを思い思いに楽しんでいた。東京都スケート連盟のブースでは、日本スケート連盟とポケモンが協力して今年開始した「ポケモンスケートチャレンジ」のノートブックも配布され、ピカチュウとの記念撮影には親子連れを中心に長い列ができていた。

東京辰巳アイスアリーナは、国際規格メインリンク(60m×30m)とサブリンク(47m×17m)を備えた通年型アイススケートリンクで、フィギュアスケート、アイスホッケー、ショートトラック、カーリング、パラ・アイスホッケー、車いすカーリングなどの競技が実施可能。運営は国内でスケートリンク経営の実績があるセントラルスポーツ株式会社が担う。フィギュアスケートとしては、9月19~21日に東京選手権、10月10~12日に東日本学生選手権、11月22~24日に全日本ジュニア選手権の開催が予定されている。
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